家の購入前に知っておきたい。「契約方法と手続き」

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家を買いたいと思ったとき、「マンションか、一戸建てか、新築一戸建てなら建売か、それとも注文住宅か」など、その希望は人それぞれでしょう。

 

どんな形態の家を購入するかは好みによりますが、購入までの流れで必ず通らなければならないのが「契約」です。今回は、購入する家のタイプ別に、どのような契約が必要かご紹介します。

 

「建売の戸建て・マンション」の購入者は要確認。不動産売買契約2つのポイント

 

土地や建売の一戸建て、あるいはマンション等を買いたい場合、「不動産売買契約」が必要になります。

不動産売買契約を締結するには、「重要事項の説明」が義務付けられている他、「手付金の支払い」が発生します。

 

●不動産売買契約「重要事項」の説明

不動産には目で見えるものばかりでなく、一見して目につかない部分も含まれています。例えば、床下や屋根裏のような中の見えない部分は、外から見ただけではどうなっているのかわかりません。その部分をおろそかにしたまま購入してしまうと、後から「こんな不具合があるとは知らなかった」などとトラブルになることがあります。

 

こうしたトラブルを防ぐため、不動産売買契約では、契約前に買い手に対して「重要事項の説明」を行うよう法律で義務付けられています。必ず説明しなければならない項目がいくつか定められている他、説明をするのは宅地建物取引士という資格保有者に限られます。

 

【重要事項の説明、項目】
・不動産の場所やその戸数・建築基準法に基づく法令上の制限
・売買の代金の支払い方法やその代金の種類
など

 

宅地建物取引士による説明を買い手が聞いて、特に疑問点や問題点がなければ、売買契約を締結するという流れになります。

 

●手付金の支払い

売買契約時に支払う契約金を「手付金」といいます。宅建業者が売主の場合のみですが、手付金として売り手が受領できる上限金額には法律上の制限があり、基本的は売買金額の20%を超える金額を設定することはできません。なぜこのような制限があるかというと、不動産取引の契約締結後に不動産の引き渡しが滞る可能性があるからです。

 

契約後は引き渡し時期にあわせて、ローンなどの資金を準備して残代金の支払いを行います。そして残代金を払うタイミングで所有権移転の登記をし、晴れて不動産が自分のものになります。

 

「土地はある」という方は要確認。注文住宅の請負契約とは

 

土地が自分のもので家だけを建てる場合、「不動産売買契約」ではなく「工事の請負契約」を締結します。

 

●工事の請負契約

工事の請負契約は「家の建主(注文者)と建築を請け負う施工業者(請負人)」の間で締結する契約です。請負契約には不動産の売買契約のような重要事項説明はありませんが、契約書に記載する事項は法律で決められています(※1)。

 

【請負契約書に記載される事項】
・請負金額
・工事場所
・建物の面積
・階数
・工事代金の支払い方法
など

 

(※1)建設業法19条
https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/kensetugyo/pdf/08.pdf

 

注意しておかなければならない点は、「建築工事代金の支払いは工事の進捗段階に応じて発生する」ということ。具体的には、「契約時・建物着工時・上棟時期・竣工時期」などのタイミングで分割して支払うことになります。注文住宅の工事請負契約の流れは売買契約とは異なるので、「土地があって、家を建てるだけ」という方は確認しておきましょう。

 

住宅設計を検討している方は要確認。委託契約と竣工までの流れ

 

好みのデザインになるように注文住宅を建てたい」という方は、契約や竣工までのプロセスが少し複雑になります。上述した「工事の請負契約」の他「設計事務所との委託契約」と、場合によっては「施工監理委託契約」が必要です。

 

●住宅設計を委託する場合の契約と流れ

1.住宅設計の委託契約まず建築家が所属する設計事務所などに家の設計を委託します。委託契約を結んだら、建築家はどのような住まいがいいか依頼主にヒアリングしながら、希望の工事予算をもとに家の設計図面を作成します。

 

2.工事の請負契約

ある程度設計が固まった段階で、工事を請負ってくれる工務店などの施工会社の見積もりを取り、希望予算と施工品質にあった業者を選び、工事の請負契約を結びます。

 

3.建築家との施工監理委託契約

施工の監理も建築家がおこなう場合、建築家と施工監理委託契約を結びます。施工監理とは実際に施工会社がきちんと設計図どおりに施工しているかどうかを確認する仕事で、竣工の検査も建築家がおこないます。

 

施工会社の工事代金だけでなく、建築家にも設計費用や監理費用を支払うことになりますので、コスト面から見れば割高になります。建築家への設計依頼を希望する方は、あらかじめ予算については十分検討する必要があるでしょう。

 

安易な契約は命取り。購入前にしっかり吟味を

 

住宅を購入する際、どのようなタイプを選ぶかによって契約の内容が大きく変わります。
軽い気持ちで契約してしまうと、後からキャンセルしたいと思っても違約金などが発生する場合もあります。

「住宅購入」は、人生の中でもトップクラスに高額な買い物なので、安易に契約をしたりせず、じっくりと検討して納得がいくまで吟味しましょう。

 

 

 

寺岡 孝 住宅&保険・住宅ローン コンサルタント

アネシスプランニング株式会社代表取締役。大手ハウスメーカーに勤務した後、2006 年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入・売却などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを実施。これまでに2000 件以上の相談を受けている。東洋経済オンライン、ZUU online、スマイスター、楽待などのWebメディアに、住宅やローン、不動産投資についてのコラムなどを多数寄稿。著書に『不動産投資は出口戦略が9割』『一生役立つ「お金と住まい」の話』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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