クレジット・夫婦合算・転職。住宅ローンの審査基準<応用編>

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前回は金融機関における住宅ローンの審査基準の基本を紹介しましたが、今回は応用編としていくつかイレギュラーなお話をしてみましょう。

 

みなさんの中にも思い当たるフシや以前から気になっていたことが多いであろう、巷でよく聞かれる疑問の答えを紹介していきます。

【住宅ローンの審査基準】“くせ者”クレジットカードのキャッシング枠

 

みなさんの中にはクレジットカードを何枚も持っている方もいるでしょうし、金融機関とのお付き合いでカードを作ったという人もいるでしょう。しかし、このクレジットカードはなかなかくせ者です。

 

クレジットカードのキャッシング枠は外しておくのが吉

クレジットカードには単なるクレジット機能しかないものと、クレジット機能に加えてカードローンがセットされているものがあります。いわゆるキャッシングと呼ばれるサービスです。

 

このキャッシングについて「自分は使っていないから大丈夫、審査には影響しないだろう」と考える方が多いのですが、住宅ローンの審査においてキャッシング枠があるクレジットカードを持っていると、たとえキャッシングを使っていなくても使っているのと同じであると見なされてしまうケースがあります。

 

【キャッシング枠が借り入れとみなされるケース】

A社のクレジットカードではキャッシング枠が30万円、B社では50万円。キャッシング可能な金額は合計で80万円で、クレジットカードをもった時点で“80万円を借りている状態と同じ(いつでも借りられる)”という判断がされる。

 

上記のような場合、「収入があったとしてもクレジットカードを保有しているためにローン審査が通らない」という可能性があります。

 

むやみにクレジットカードを持っていると、住宅ローンが借りられないという結果になりかねません。心配な方は、住宅ローンの審査を受ける前にキャッシング機能を外しておくといいでしょう。

【住宅ローンの審査基準】 夫婦の収入を合算した住宅ローンの“メリット・デメリット”

 

最近は「パワーカップル」という言葉に象徴されるように、いわゆる夫婦共稼ぎのケースが増えています。そうした夫婦の場合は、お互いの収入を合算して住宅ローンを利用することが考えられるでしょう。

 

【夫婦の収入を合算した住宅ローン利用:メリット】

2人分の収入を合算してローンを借りれば、1人分のときよりも大きな金額の借り入れが可能。夫が年収500万円、妻が年収400万円で、合計900万円のカップルの場合、収入合算では年収900万円の人と同じ額の借入ができる。夫だけの収入では3,500万円程度が限度でも、収入合算することで6,000万円近くまで借入金を増やせる。

 

【夫婦の収入を合算した住宅ローン利用:デメリット】

収入を合算してローンを借りた夫妻には連帯債務や連帯保証が生じる。これは、それぞれの収入に対する個別の借入金ではなく、夫や妻どちらかの収入がなくなってしまったとしても、必ず合算分の返済をしていく必要がある

 

ありがちなケースとしては、「産休で妻が休職している期間中、夫だけの収入で返済をしていくことになり、返済が厳しくなってしまう」というような状態です。このような局面の可能性も念頭に置きつつ、計画的なローンを組むべきでしょう。

【住宅ローンの審査基準】 収入の増減によって変わる「転職後のローン審査」

 

転職直後でも住宅ローンは借りられるのでしょうか。一般的に、「転職直後はローンの審査に通らないことが多い」と思っておいたほうがよいでしょう。安定的な収入が少なくとも1年は継続して得られる状況になって、初めて審査対象になるとも言われています。

 

では、転職後1年経過したから審査は通るのかというと、そうとは言い切れません。以下のようなケースではローン審査に通りづらくなる可能性があります。

 

【転職後、ローン審査に通りづらくなるケース】

転職後、収入が上がっている場合は問題はないが、収入が下がっている場合、金融機関は審査に慎重になる。その理由は、収入が下がってしまうような転職の場合、短期間で再度転職してしまうなど、収入がなかなか安定しないため。同様に短期間での転職歴が多い場合、いくら収入があってもまた転職されてしまう可能性があると判断され、ローンの審査に通りづらくなる。

 

転職後は、収入や転職歴に応じて審査の通りやすさが変化します。
住宅購入のためにローンを借りたいという方は、慎重に転職するか否かを判断しましょう。

■金融機関の審査意図をしっかり理解して、無理のない借入を

 

住宅ローンの審査では、金融機関サイドの審査基準のもと、貸したお金をしっかり返済してくれそうな人かどうかを見られます。

 

クレジットカードを多く持ちすぎていないか、夫婦の収入を合算で借りた場合は単独でも返済可能か、転職直後の収入はどうか」など、返済の原資がきちんと確保でき、かつしっかりと返してくれる人かを判断しているのです。

 

こういった金融機関サイドの審査基準を理解した上で、無理な借入になってしまわないかどうか、自分でも一度しっかりと確認しておくとよいでしょう。

 

 

 

【専門家プロフィール】
寺岡 孝 住宅&保険・住宅ローン コンサルタント
アネシスプランニング株式会社代表取締役。大手ハウスメーカーに勤務した後、2006 年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入・売却などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを実施。これまでに2000 件以上の相談を受けている。東洋経済オンライン、ZUU online、スマイスター、楽待などのWebメディアに、住宅やローン、不動産投資についてのコラムなどを多数寄稿。著書に『不動産投資は出口戦略が9割』『一生役立つ「お金と住まい」の話』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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