空き家が負担に

相続税対策で不利な空き家所有。保有コスト急騰に対策は?

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自宅敷地や自宅建物の相続税評価額は高く、賃貸アパートの敷地や賃貸アパートの建物の相続税評価額は安い、と言われています。なぜ、賃貸アパートの敷地や賃貸アパートの建物の評価額が下がるのかを計算式で確認してみましょう。

 

・自宅敷地=自用地評価額 に対し、

アパートの敷地=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 

・自宅建物=固定資産税評価額 に対し、

アパートの建物=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 

仮に借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合は100%(満室)である場合、アパートの敷地は自宅敷地に比べて21%、アパートの建物は自宅建物に比べて30%、評価額が安くなります(ただし、小規模宅地等の特例を考慮しない)。

 

一方、賃貸割合が0%(空室)の場合、評価減の部分の式が「1-0=1」となります。すると、アパートの敷地およびアパートの建物の評価額は、自宅土地と自宅建物と同じとなり、期待される相続税対策の効果は得られません。

 

もちろん、空き家であっても、サブリース方式で貸し付けていれば評価額は下がりますし、一時的な空き家と認められる場合には賃貸割合に含まれるため、一概には言えませんが、長期間にわたって空き家である場合には対策が必要でしょう。

「危険な空き家」に該当すれば固定資産税の軽減措置の対象外に

寂れた空き家

 

また、親が住んでいた自宅を相続で取得したものの「すでに自宅を所有している」「都会で仕事を抱えているため、田舎の実家を相続しても住むことは考えにくい」といった事情で、空き家のまま放置されるケースが多いようです。

 

これまでであれば、どんな空き家であっても住宅がある敷地は、空き地と比べて固定資産税の計算上、住宅1戸につき200平方メートルまでは6分の1で評価されていたため、放置する方が取り壊すよりもコストも安く済んでいました。

 

しかし、放置されている空き家が「倒壊等の危険」「衛生上有害等」など、危険な空き家(特定空家)として市町村から勧告を受けると、軽減措置の対象外となる措置が2016 年度に納税する固定資産税から適用されています。

 

以上のように、空き家は相続対策としても不利であり、空き家のまま放置したために「特定空家」に該当してしまえば保有コストが高くなるのです。

相続で取得した空き家を売却する際に活用したい新制度が創設

お金と家

 

そんな中、空き家対策として活用したい制度が新設されました。この制度は2019年12月31日までに、相続開始直前に被相続人の居住用であった空き家を相続人が取得し、住宅を新耐震基準に適合するリフォームする、または、建物を取り壊して敷地を譲渡した場合には、譲渡益のうち3,000万円までは課税されない」というものです。

 

主な要件は以下の通り。

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋である(区分所有マンションは対象外)

・相続から3年後の12月31日までに譲渡する

・譲渡対価が1億円以下

・相続から売るまでに、事業で使ったり、貸したり、住んだりしていないこと

 

期限付の特例ですが、今後、継続的に延長される可能性がある特例であるため、相続で取得した実家の住宅などをどうするかを考える際に念頭においておきたい制度です。

 

なお、この特例が適用できない場合でも「比較的、不動産価格が高い今のうちに処分する」「保有コストを考えて早めに処分する」など、「売る」という選択肢も考えておきましょう。

「売る」か「貸す」か。今後のライフプランを踏まえた空き家対策を

家の模型を指差す

 

また、空き家を住宅として貸すことができれば、相続税評価額では、敷地は約2割、建物は約3割、評価額が下がります。それに、特定空き家に該当することはなく、固定資産税も軽減されます。賃貸するために「そのまま貸す」ことが難しい場合、「建て替えて貸す」「家主がリフォームして貸す」ほか、最近は借主の原状回復義務を免除して、入居者が自由にリフォームできることを条件として貸し出す事例も増えているようです。

 

「売る」という選択は、資産を手放す決断。「貸す」という選択は、今後の資産価値の推移、賃貸ニーズ、収益性を踏まえた決断。いずれも大きな決断です。

 

損得も重要ですが、自身の収支状況や今後のライフプランなどを踏まえて、今、目の前にある「空き家」をどのように活用すると良いのかをじっくり考えてみましょう。

 

「売却価格の査定を依頼する」「リフォーム費用の見積もりを取り寄せる」「住宅のある市町村の建物取壊費用の助成金を調べる」「このまま保有する場合のコストがいくらになるかを調べる」など、まずはできることから一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

 

筆者:益山真一/ファイナンシャル・プランナー

「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成28年7月末時点で累計2,481回を数える。

■HP:http://www.fp-masuyama.com/

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