
実家が空き家に!管理・維持にかかる5つのポイントをチェック
実家を相続してもその家に住むことができない場合は、空き家のまま維持することになります。実際に住んでいなくても、近隣の人たちに迷惑をかけないように管理しなければなりません。そこで、実家が空き家になる場合、その家を維持するのにかかるお金と、実家を処分したい場合にはどのような方法があるのかを解説します。
空き家を維持するのにかかる5つのお金

実際には住んでいなかったとしても、実家を引き継いだ人にはさまざまな費用がかかります。家を引き継ぐことになったら、どのようなお金がかかるのでしょうか。空き家となった実家の維持にかかる5つのお金について見ていきます。
1.固定資産税
毎年1月1日時点で持ち主だった人には固定資産税がかかります。家のある地域の自治体が「固定資産税評価額」を決定し、それを「課税標準額として1.4%(標準税率)をかけた金額」が固定資産税の税額になります。
【固定資産税の計算方法】
固定資産税=課税標準額(固定資産税評価額)×1.4%(標準税率)
固定資産税は「家屋が建ったままで200平方メートル以下(小規模住宅用地)」であれば、課税標準額が6分の1になる「固定資産税の住宅用地特例」を受けることができます。「200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)の課税標準額は3分の1」となります。
2.都市計画税
家が市街化区域内に建っている場合、その土地と家屋に「都市計画税」がかかります。都市計画税の税額は、「課税標準額に一定の税率(上限は0.3%)」をかけたものです。
【都市計画税の計算方法】
都市計画税=課税標準額(固定資産税評価額)×都市計画税の税率(上限0.3%)
また、「200平方メートル以下の小規模住宅用地」であれば、「課税標準額が3分の1になる特例」を受けることができます。「200平方メートル以上」の場合は、「課税標準額は3分の2」となります。
3.火災保険
必須ではありませんが、火災や自然災害のリスクに備えて、火災保険に加入するのがベターです。空き家は「住宅物件ではなく、店舗や事務所を対象とした一般物件」として扱われる傾向にあり、一般的な「人が住んでいる家」の火災保険よりも割高になる可能性があります。火災などで隣家に被害が及ぶと、膨大な損害賠償が請求されます。もしものために、加入したほうが良いでしょう。
4.水道光熱費
空き家になった実家の様子を見にいくときなど、電気と水道が使えるよう契約をそのままにしておくと、実際に電気や水道を使っていなくても基本使用料がかかります。その費用がどれくらいになるのか確認して、実家の維持費に組み入れておきましょう。
5.修繕費用
人が住んでいない家は少しずつ老朽化していきます。また、庭の草や木の枝が伸び放題になって荒れていると、不審者が侵入して犯罪に結びつくかもしれません。また、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律についても覚えておきましょう。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは、増え続ける空き家問題の対策として施行された法律です。下記のような「特定空家等」に指定されると、適切な管理をするよう助言・指導・勧告・命令が出されます。勧告されてなんの手立ても施さないと、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなり、固定資産税の負担が重くなります。
【特定空家等に指定される住宅の条件】
・倒壊のおそれがある
・衛生上、有害になる
・景観を著しく損なう状態である
・周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である
参照:e-Gov「空家等対策の推進に関する特別措置法」
年に数回は実家を訪れて状態を確認し、修繕が必要であればすぐに対応しなければなりません。これらの修繕費用も見込んで実家の維持費に組み入れておきましょう。定期的に実家へ通うのが難しい場合は、「空き家管理サービス」を利用する方法もあります。
※【大和ハウスグループ「リブネス空き家管理サービス」】
大和グループの空き家管理サービス。「戸建てプラン (月1回60分点検 月10,000円税抜)、マンションプラン (月1回40分点検 月9,000円税抜)」などのサービスを展開。詳しくはこちらから。https://www.jyutaku.co.jp/akiya/
実家に住む人がいない場合に選択できる3つの方法

これまで挙げたような空き家の維持費を考えると、誰も住む予定がない場合、早めに家の処分を検討したほうが良いかもしれません。以下の3つの方法を検討してみてください。
1.実家を賃貸する
空き家の実家を賃貸すると、定期的な家賃収入が見込まれます。ただし、賃借人が快適に住めるように設備などの整備や修繕が必要です。実際にどう対処するかは不動産会社へ相談しましょう。また、不動産会社は実家に近い会社がおすすめ。なぜなら、実家周辺の不動産事情や生活事情を熟知しているからです。賃貸を検討する場合は、複数の不動産会社で話を聞き、信頼のおける会社を選んでください。
2.実家を売却する
実家を売却すれば、管理する手間も維持費もかからなくなります。売却するつもりなら、まずは実家の名義を確認しましょう。親の名義のままだと売却ができません。また、相続で名義を変更する際には、相続人全員の同意が必要です。相続登記の手続きは複雑なため、司法書士にお願いしたほうが良いでしょう。売却を依頼する不動産会社は、やはり実家のある地域の不動産事情に詳しい会社がおすすめです。数社に査定をお願いして、最も信頼ができる会社を選びましょう。
3.空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、空き家の持ち主と空き家に住みたい人をマッチングする地方自治体のサービス。空き家情報をポータルサイトなどで公開しています。必要書類を揃えて自治体へ提出すると、現地調査がおこなわれ、仲介業者が選任されて、空き家バンクに登録となります。
相続放棄を検討するなら「相続財産」と「親族」の2つを考慮して

まずは相続放棄について確認しておきましょう。相続放棄をする場合は、「相続の開始を知ったときから3か月以内に相続放棄申述書と住民票、戸籍謄本などの必要書類を揃えて、家庭裁判所へ提出」します。もし3か月以内に対応できない場合は、期間延長を申し立てることも可能です。
ここで注意したいのは、相続放棄をすると「家屋や土地以外の相続財産も引き継ぐことができなくなる」こと。また、相続放棄をするには親族との話し合いが必要です。例えば両親がともに亡くなった場合、子どもが全員相続放棄をしたらどうなるでしょうか。相続の順位では、次は直系尊属(被相続人の親)となりますが、被相続人の親も亡くなっている場合は父親の兄弟姉妹へ相続順位が移ります。
ただでさえ処分に困る実家を、自分たちの叔父や叔母へ押し付けることができるでしょうか。相続放棄する前によく考えて、親族とも話し合った上で結論を出しましょう。
維持費を計算して、処分するか否かを確認しよう

実家を相続したら空き家であっても管理しなければなりません。それにはさまざまな費用がかかります。そのため、維持費がどれくらいかかるのかを把握しておくことが重要です。維持管理が難しい場合は実家を処分することになりますが、処分方法はよく検討し、処分にかかる費用を試算した上で最適な方法を選びましょう。