空き地・空き家問題の特効薬!? 地方が手掛けるランドバンク

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近年、子どもが都会に働きに行って田舎に帰ってこなくなるケースが増えています。すると、継ぐ者がいなくなった家や土地が空き家・空き地として放置されるようになりました。
空き家問題に関しては、国も対策を講じています。空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)によって「特定空家等」に指定された場合は、固定資産税の減免措置をなくす実質的な増税になります。また、対応がない場合には行政処分による解体もおこなわれており、空き家の増加を防ぐ取り組みがなされています。

 

さらに最近では、空き地問題を解決する手法のひとつ「ランドバンク」が注目されています。
そこで今回は、ランドバンクの概要と実際に活動している「つるおかランド・バンク」の取り組みについてご紹介します。

ランドバンクは空き家・空き地の再開発

 

ランドバンクはランドバンキングとも呼ばれ、アメリカで始まった地方自治体の土地の開発手法です。開発需要が見込まれる土地を大規模に買収し、それを開発することによって利用可能な土地にします。また開発後の利益を元に小口不動産の投資商品として販売もしています。

 

日本でいうと、ランドバンクは鉄道会社などがおこなう郊外の宅地開発と似ています。しかし、開発主体に大きな違いがあります。宅地開発の開発主体が強大な資金力を持つディベロッパーであるのに対して、アメリカのランドバンクは行政から委託または行政と組んで設立された公的機関が主体になることが一般的です。

 

日本でランドバンクを活用し、地方で一定の成果をあげている取り組みのひとつに「つるおかランド・バンク」があります。

成果をあげた取り組み「つるおかランド・バンク」

 

「つるおかランド・バンク」は山形県の鶴岡市に拠点を置くNPO法人のことです。2013年1月にNPO法人認可を取りました。
主な事業は、その名の通り「ランドバンク事業」です。密集住宅地(指定地域)の空き家・空き地の寄付または低廉売却を受け、解体・整地・転売等により空き家・空き地・狭あい道路の一体整備を行います。そして、整備された土地の有効活用を図るのです。

 

つるおかランド・バンクの役員の構成を見ると、宅建士のほかに司法書士や行政書士、大学教授、行政関係者などさまざまな分野の専門家が集まっています。それぞれの英知を結集し、適正な運用をおこなっています。

 

つるおかランド・バンクが定義するランドバンク事業は海外のような大規模な開発でなく、「小規模連鎖型区画再編事業」なのが特長です。小規模連鎖型区画再編事業とは、狭小な道路に接する空き地をNPOに寄付や売却して道路の再整備をおこない、隣接する土地の価値を上げるものです。

 

 

参照:つるおかランド・バンク「主な事業内容」
https://t-landbank.org/activity

小規模な区画再編が日本の空き地対策には有効

 

本家アメリカのランドバンクに比較すると、日本の事業規模は小さいものです。道路の改善の場合、日本ではもともと4m未満の道幅を6mほどにすることが目標とされます。そのため、劇的な地価の増加につながるわけではありません。

 

しかし、比較的小規模な事業でも、日本の空き地の現状を考えると一定の有効性があると考えられます。日本の多くの土地は「道路が狭い」「使い勝手が悪い」という理由から、空き地になりやすいものです。逆を言うと、

 

 2018年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」が閣議決定されました。この法案では、所有者を検索しやすくしたり行政が利用しやすくしたり所有者不明地を適切に管理できる仕組みが作られています
所有者不明地は、空き地や空き家がそのままの状態で放置された結果起こる問題です。これらは土地の有効活用がされていないことが問題の根本原因である点で共通しています。つまり、空き家や空き家対策をしっかりと行うことが所有者不明地の増加を減らすことにもつながるでしょう。

 

空き家・空き地対策には、つるおかランド・バンクのように小規模でも有効性のある動きが全国的に広まることが望まれます。そのためには、民間の力を引き出して知恵を絞らなければなりません。それに加えて、さまざまな取り組みを後押しする行政の働きかけも必要です。官民協力して空き家問題に取り組みが、空き家件数減や地方の活性化につながるでしょう。

 

 

参照:法務局「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法について」
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000022.html

 

 

 

執筆者:田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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