リノベーション検討者のための中古物件の見方

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リノベーションを考えるとき、理想の内装を考えることばかりが先行して、他に確認しなければいけない点がおざなりになってしまうことがあります。しかし、それでは住み続けることに不安を感じることもあるはずです。

 

今回はさくら事務所ホームインスペクション関西の代表、大森さんに、物件を選ぶ際に見ておきたい・知っておきたい内装以外のポイントについて詳しく伺いました。

内装と同じくらいお金を掛けたい外装

 

「物件を選ぶ際に、水回りやキッチン、お風呂などの内装にみんな目を向けてしまいます。気持ちはわかるけれど、それ以上に重要なのが外装です。内装と同じくらいか、それ以上に外装にお金を掛けてほしいと思います。」

 

外装とは屋根や外壁のこと。この先10年、20年とその物件に住むことに耐えられるのか、外装の状態には必ず目を向けてほしいというのです。

しかし、リノベーションを見越して中古物件を購入する場合、どうしても建てられてから時間が経過している物件が多いため、外装には何らかの欠陥が見え始めていてもおかしくありません。

 

そこで、大森さんは「お金を掛けて、外装の性能を上げてほしいのです」といいます。

具体的にはどういったことを行えばいいのでしょうか。

 

「屋根は、葺き替えまでしてほしいとはいいませんが、少なくとも塗り替えを行うのがベストです。塗り替えは美観だけが目的ではありません。塗膜の防水機能によって雨水の侵入を防いで家を守る効果があるのです。他に、外壁の洗浄や基礎部分のひび割れの処理は行いましょう。お金を掛けたくないからと外装の補強をしないまま住んでしまい、雨漏りが起こったり、シロアリが来たりすると大変です。」

 

長く住むために家の性能と耐久性を上げるという観点で、外装に投資する概念がまずは大事だといいます。また、住む前だけでなく住んでから外装が劣化してきた際にも、再度の外装工事が必要だといいます。

▲さくら事務所ホームインスペクション関西の大森敞彦(おおもりあきひこ)さん

 

「マンションであれば、15年に1回ほど外観の補修や塗り替えを行い、快適性や安全性を強化する大規模修繕が行われます。これらは、居住者が義務として毎月収めた大規模修繕用の積立金を使って実施されるのです。一方で、戸建ての住宅を買う人には、『修繕費を払う』という概念が無く、一度住んでしまうとそのままという方も多いのが実情です。しかし、長く安全に住むためにも修繕は行ってください。毎月1万円ずつ貯めてもらうと、15年で180万円ほどになり、修繕費が賄えます。」

戸建てをリノベーションする際の注意点

 

外装に気を配ることと同様に、リノベーションを見据えた物件購入を行う際には、その物件の工法や構造を知ることが大事と大森さんはいいます。住宅において、耐久性や耐震性などさまざまな性能の基礎となるのが工法や構造。変更の利かない重要な要素であるにもかかわらず、意外と工法や構造に目を向けないまま物件の購入を検討する方も多いのだそうです。

 

工法や構造によっては、リノベーションの自由度が制限される場合もあります。
中古戸建て物件をリノベーションする場合は、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。

 

戸建ての場合、多くの物件は木造軸組工法(在来工法)で建てられています。柱と梁で骨組みを作り、筋交いで補強している木造軸組工法において、リノベーションを優先して柱や筋交いを取ることは御法度です。梁を支えている柱が1本無くなってしまうだけで、他の柱に負担が掛かったり、床がたわんで床鳴りが起こってしまったり、安全性に問題が出てしまいます。」

 

たとえ柱を取り去ることができなくても、デザインなどで工夫することで既存の柱を利用しながらおしゃれに見せたり、理想の空間に近づけたりすることは可能だと大森さんは教えてくれました。

マンションをリノベーションする際の注意点

 

一方で、中古マンションを購入してリノベーションする際はどうなのでしょうか。
マンションの構造は、大きく2つに分かれており、それぞれには下記のような特徴があります。

 

・ラーメン構造
ラーメンとは、ドイツ語で「枠」のこと。建物を柱と梁で支えているため、柱と柱の間にある壁のほとんどが撤去可能であり、リノベーション時の自由も利きやすい。

 

・壁式構造
柱や梁ではなく、壁で建物を支えているため耐震性には優れているが、リノベーション時の自由度は利きづらい。

 

大別するとこのような違いがあります。しかし、大森さんは構造を知ることと同様に、マンションに住む以上は各マンションにおけるルールを確認することが必要だと説きます。

 

「中古マンションを購入してリノベーションを施すことを考えている場合、そのマンションの管理規約に必ず目を通してください。管理規約は、マンションのルールブックであり、マンションごとに違います。たとえば、リノベーション時には管理組合に届出を出す必要があるのかどうかや床の仕様の取り決めなど、さまざまなルールが書いてあります。」

 

たとえば「階下への震動や騒音を大きくしないために、カーペットからフローリングへの変更を禁止」などのルールを設けているマンションも。構造的な問題は技術でクリアできても、管理規約で禁止されていることはできません。事前に管理規約を知っておき、想定しているリノベーションへの対応が可能であるのかどうかは確認すべきです。

 

「他にも、マンションであれば二重天井や二重床になっているかなども確認しておいた方がいいでしょう。コンクリートスラブと下地材の間の空間にパイプを配置する二重天井や二重床であれば、比較的自由に配線や排水管の移動が可能ですが、そうでなければ上下の階にも影響してしまうためキッチンやお風呂の改修はかなり制限されてしまいます。」

 

構造や工法以外に、マンションを購入する場合に頭に入れておきたい事項が「大規模修繕」の存在です。大規模修繕が前回いつ実施されたのか、次回の修繕のための積立金が貯まっているのかを確認すべきだというのです。それはなぜでしょうか。

 

「たとえば、以前に住んでいた方が積立金を滞納していて、積立金が貯まっていないとします。この状況で大規模修繕が来年に控えていた場合、今入居すると『大規模修繕のために必要なので不足分の負担をお願いします』と高額な代金を請求されてしまう可能性もあるのです。」

 

予想していなかった出費に頭を悩ませないためにも、事前の確認は必要です。

 

 

まずは物件の現状と構造を理解することから

 

外観の状態や構造・工法はまず「知る」ことが重要なのだと大森さんは強く訴えます。

 

「大なり小なり、条件によって制限事項が変わることはあります。しかし、それらはデザインの工夫しだいでカバーできることも多くあります。まずは自分の目で見て、聞いて、現在の状態や家のしくみを把握してください。その情報をリノベーション業者に伝えることができれば、予算と構造を鑑みた中で最良のプランを提示してもらえると思います。『知らなくて損した』を無くすために、知識武装は必要です。」

 

住まいについて考えるタイミングは、人生の中でもそう多くはありません。そして、安くはない費用が掛かる大きな決断です。まずは調べて、知ってからプロに相談することで、より理想に近い暮らしが実現できるようになることでしょう。

 

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦

 

<プロフィール>

業界NO.1(40,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルをひとつでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。

専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

 

<URL>

http://00002.sakura-his.com/

 

 

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