少子高齢化。空き家問題…これからの時代に備える住宅選びとは?

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高齢化問題、空き家問題など、多くの課題を抱える現代社会。その影響は私たちの住まい選びにも、大きく関わっています。

 

トレンドやその時の気分に流されるのではなく、中長期的なライフプランに基づいた住まい選びが重要だと語るのは、さくら事務所ホームインスペクション関西の大森敞彦(おおもりあきひこ)さん。

 

これからの住まい選びで大切なこと、覚えておくべきこととは何なのか?大森さんに詳しく伺いました。

不動産業界にも影響が!現代社会の課題とは?

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これからの日本は、少子高齢化による人口減少を避けて通れません。子どもが相続放棄した家は空き家になり、主人をなくした所有者不明の住宅も増えていくでしょう。防犯の面からも空き家問題は深刻です。空き家になる前にできることはないのでしょうか。

 

中古住宅を売ることや賃貸で貸すことに二の足を踏みがちな日本人。今、中古住宅の流通はどんな状況なのでしょう。

大森さん

▲さくら事務所ホームインスペクション関西の大森敞彦(おおもりあきひこ)さん

 

現在、年間住宅流通量は新築2に対して中古住宅1の割合ですが、将来は14くらいに変わってくると言われています。郊外の山を切り拓いて宅地を広げていった時代は既に終焉を迎えています」と大森さん。

 

かつては、若い世代が郊外にマイホームを持つことが憧れでした。しかし、その世代が年を取ってきた今、利便性の良い都市部への回帰が進んでいます。都市部に新築が増えるとは考えづらいため、今後は中古住宅に目が向けられていくことでしょう。

 

しかしここで問題が起こります。住み替えの場合、郊外の自宅が売れなければ、都心の住まいを手に入れることはできません。

 

かつては購入価格より高く売れた時代がありました。しかし、今は郊外の住宅の価値が下がり、思うような価格で売れない状況があります。新築で買った住宅の売却価格は、購入価格より大きく下がっています。ローンの返済が残っていて精算できない場合は、引っ越ししたくてもできません。新築住宅がリスクになってしまっているのが現状です

住まい選びの変化

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第二次ベビーブームで住宅需要が増えたのは1973年頃。当時は大企業に入って、家族ができたら郊外の新築に住むのが憧れでした。それから44年が経った今(2018年現在)、価値観が大きく変わっています。

 

個人の興味や好みの細分化が進み、築30年から40年の中古住宅をリノベーションして住む若い世代が目立っています。また、自分たちでペンキを塗ったり壁紙を張ったり、それぞれのライフスタイルに合わせて、セルフリフォームを楽しむ人たちが増えているのも近年の傾向です

 

古い町並みや近所付き合いが残るエリアは人気だと聞きます。

 

大阪で言うと、仕事に便利な中崎町、福島、谷町6丁目界隈が人気です。昔ながらの長屋をリフォームして、単身者や夫婦と子どもといった家族が住んでいます。築30年以上経っていても、かっこよくリフォームをすることで、資産価値が上がることもあります。新しい価値観を持っている世代ですね

リフォーム

 

 

行政としても、人口減少に備えてコンパクトシティ化を進めようとしています。インフラ整備に莫大な費用をかけることができないため、優先的に整備するエリアを決め、暮らしに必要な施設をもつ町なかに住宅を集約する動きです。

 

そうなると注目されるのは、町なかにある中古住宅、中古マンションです。実際に町を歩いてみると、空き家、空き部屋の看板を多く見かけます。これらを活用することで町の活性化につながり、住み方の多様性にも貢献できるかもしれません。

これからの不動産業界と、住まいの選び方

家

 

日本人は、土地の上に建つ住まいが資産だという意識が低いようです。特に戸建てが資産だという認識は低く、どうせ築年数で価値が決まるのだから買ったらそのまま、という人がほとんどで、メンテナンスに力を入れていません。きちんと管理して、資産価値を下げない。そして次の住まいを買って住む時にはきちんと売れることが一般的になれば、空き家問題は多少なりとも改善するのではないかと思います。スクラップ&ビルドの時代は終わりました。住まいを大切に使って、代をまたいで長く住み続けるのが当たり前の社会になればと思っています」と、大森さん。

 

木造の住宅に比べると、マンションはメンテナンスをきちんとすれば、長く住み続けることができます。だからこそ私たち自身が資産価値を上げる住み方をしないといけない。資産価値を上げるためにどうすればいいのか、どのように住み替えをしていくのかを、長期的な視野で考えることが重要です。

 

中古マンションは魅力がいっぱいです。まず第一に価格が手頃。築15年から20年くらいのマンションは一般的には状態も良く、設備についても大きな心配はありません。第二に新築より流通量が多いので、自分が住みたい街や既にある良いコミュニティを選ぶことができます。住まい選びの基準は値段と間取りだけではありません。大事なのはどう使われてきたか、これからどう使いたいかということです

 

私たち消費者も情報を集めて賢くならなければいけません。完成した住宅を買って満足するのではなく、自分がどう暮らしたいのか、どのタイミングで住み替えるのか、人任せにはできないことがたくさんあります。

 

受け身的な日本人のマインドを変えていかなくてはなりません。資産価値の高い住まいを選んで、さらに価値を高めて売ることが、結婚、子育て、子どもの独立、介護など、ライフスタイルの変化に応じた住み替えに必要です。価値というのは建物だけではなく、教育や治安の面から見ると、ご近所との関わりも含まれます

大森さん

 

 

目に見えない価値を高めるためには、自らコミュニティに参画して良い関係を作り上げていくことが求められます。受け身ではなく、積極的に関わることが重要ですね。

 

これからの10年は、住宅の質の向上がテーマになるでしょう。居住者の利便性を向上させること。つまり、子育て世帯や高齢者が安心して暮らせる動線や衛生管理です。そのために、我々インスペクター、建築、不動産、さらには、融資する銀行と、住宅に関わる各方面の人たちが力を合わせて技術・知識・サービスを向上させ、消費者のニーズに対応していかなければなりません

 

と、決意を新たにする大森さん。

中古住宅流通の活性化によって、空き家問題、税収減、地域格差といった問題の是正が進むでしょう。古い住宅をリフォームして、店や住まいにする若い世代が増えています。それが新しいライフスタイルだと注目されているのは、時代の変化の兆しかもしれません。

 

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦

 

<プロフィール>
業界NO.1(40,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。

建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルを1つでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。

専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

 

<URL>
http://00002.sakura-his.com/

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