財産を相続したとき、不動産はどうすればよいの?

財産を相続したとき、不動産はどうすればよいの?

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2015年の相続税法改正以降、相続税を支払わなければならない人が増えました。また、高齢化の進行により、年老いた親から不動産を相続するケースが増加しています。相続は急に発生するものですが、事前にしっかりと準備できている方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、財産を相続したときの対応策についてご紹介します。

相続税法の改正とは

相続税法の改正とは

 

被相続人(亡くった人)から相続または遺贈によって財産を取得した場合、相続人それぞれの課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に相続税を支払う必要があります。その基礎控除額が、2015年の相続税法改正によって下記のように引き下げられました。

 

5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)⇒3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

この影響は大きく、国税庁によると、申告義務のある相続人の人数推移は、2014年から2015年にかけて、約5万6,000人が約10万3,000人へと約84%も増加しています。改正年以降は10万人以上で推移していますので、税法改正で相続税の支払い対象になった方がぐんと増えたことがわかります。

 

また、最高税率は下記のように引き上げられました。[50%⇒55%]
消費税増税が低所得層の負担を増し逆進的であると言われたため、そこに配慮した富裕層への課税強化です。

 

そしてさらに改正されたのが、小規模宅地の特例の面積要件拡大です。
一般の方は小規模宅地の特例にあまり馴染みがないかと思います。簡単に説明すると、亡くなった人が住んでいた、もしくは事業をしていた土地で、決められた一定の要件を満たせば最大で80%相続税額が減額されるというものです。その特例条件となる面積要件が拡大されたのです。[居住用:240㎡⇒330㎡]

 

これらの改正で相続税を支払うべき人が増えたことにより、現金が足りずに不動産を売却したいという人が増えています。

 

参照:国税庁「平成29年分の相続税の申告状況について」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/sozoku_shinkoku/index.htm

遺産分割について

遺産分割について

 

遺産分割をする時、被相続人に財産分与や納税するだけの十分な現金資産がなく、財産は被相続人の自宅しかないというケースがあります。その場合、換価分割といって不動産を現金化して相続をするケースと、一旦共有で相続しその後不動産を売却するケースがあります。相続人に現金資産がない場合は、換価分割をしてから納税することが多くなります。、また、換価分割は売却の手間がかかるというデメリットがあります。売却希望価格の調整、仲介会社の選定、物件が売れるまでの期間が読めない、売買契約に併せて遺産分割協議書を作成するなど、時間や専門的な知識が必要になるためご注意ください。

 

納税額がそれほど多くなく現金で支払える場合、一旦共有で不動産を相続するケースが多くなります。簡単に説明すると「ひとまず仲良く公平な比率で持ち合いましょう」ということです。

 

相続時はそれで問題ありませんが、徐々に不動産の管理の難しさなどからもめてしまい、程なくして売却になるケースが多いです。不動産を共有し続けた相続人が亡くなるという二次相続が起きた際に、そのとき相続した子どもが多くいた場合などはさらに相続が複雑になります。そのため、その後の不動産売却の合意形成が難しくなります。不動産を相続した時に相続人が複数いる場合は、共有するよりも売却してお金で分けたほうが後々の相続問題の原因にはならないでしょう。

 

不動産を共有する場合にトラブルが起きやすいのは、下記など共有不動産特有の取り決めが多数存在するためです。

 

・共有した不動産は共有者の同意なく売却できない
・共有者が亡くなった場合に再度遺産分割の対象となる
・大規模修繕なども共有者の合意がないとできない

 

相続した不動産のなかに「子ども時代に過ごした家」など想い出がある場合、なかなか割り切って売却することに抵抗があると思いますが、遺族でもめない方法を探る考え方も必要です。

 

不動産の遺産分割では上記以外に、現物分割と呼ばれる、不動産をそのまま相続人の一人が取得する方法や、代償分割と呼ばれる、不動産を一人が取得した後他の相続人に対して相続分を現金で支払う方法があります。

不動産の売却について

不動産の売却について

 

不動産を素早く現金化することで、スムーズな遺産分割につながります。
不動産を相続しても自分で住んだり家を建てたりしない、賃貸にして事業化する予定もない場合は、修繕維持費や固定資産税・都市計画税の負担などを考えて速やかな売却がおすすめです。相続した土地にアパートを建てて事業化し、長期サブリースする事業モデルがありますが、多くのトラブル事例があるためおすすめしません。どうしてもアパート経営したい場合は、相続した土地を売却し、その資産でアパート経営に向いた立地でおこなうべきです。自宅を相続してそのまま空き家にしておくと、特定空き家等に指定される恐れがあります。自治体から指定を受けると、更地と比較して固定資産税が最大6倍になる可能性があります。空き家を解体するのにも費用がかかりますので、相続を受けた場合早めに売却したほうが良いでしょう。

 

換価分割で売却する場合は、実際に売却手続きができる相続人を選び、選ばれた相続人の名義にしたうえで、売却手続きを行います。共有後の売却の場合は共有者全員の意思確認をする必要があります。

 

相続不動産を売却する手法やスピード感などは、慣れた不動産会社だと安心して任せられます。そのため、相続に詳しい不動産会社に依頼することで、満足できる売却につながるでしょう。

相続不動産を売却して譲渡益が発生した場合、その利益に対して所得税と住民税を支払う必要があります。ただし、相続税を支払った後に、所得税と住民税も支払わないといけないケースに対して「相続税の取得費加算の特例」という税法上の特例があります。相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、相続税の一定額を取得費に加算できます。これによって譲渡益を抑えられ、納税の軽減につながります。

まとめ

まとめ

 

相続について相続人・被相続人が共に知識を得ることによって、事前の対策が可能になります。人の死につながる相続の話は、タブー視されてしまう傾向にあります。特に、子どものほうから親に相談するのは難しいものです。ですので、親が元気なうちに、子どもたちに対して相続の方針を伝えることが大事です。感情的に話すのではなく、相続法に基づいて、このようにしたいと思うといった相談形式で話すといいでしょう。兄弟間も親が決めた方針があればあまりもめませんが、兄弟だけで話すともめるものです。そして重要なのが、相続不動産の早期売却です。不動産は現金より評価額が低いため、不動産の状態で相続して、早めに売却をして現金化し、公平に相続人で分割することが大事です。

 

執筆者:尾嵜 豪
株式会社ウィンドゲート 代表取締役(不動産会社)
エマージェンザ・ジャパン 代表(優勝で欧州の野外フェスに出演できる音楽イベント)
不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ビル経営管理士、2級FP技能士
音楽イベントプロデユーサー
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