相続登記を放置していませんか?不動産を放置するリスクとは?

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今、相続登記を放置した不動産が全国で急増しており、問題になっています。土地を相続しているにもかかわらず未登記の状態で放っておくことは、予想以上にデメリットであることを知っていますか?

 

今回話を伺ったグリーン司法書士法人・行政書士事務所の代表・山田さんによると「未登記」には大きなリスクがあるのだそう。
そこで今回は、相続登記を放置している不動産のリスクを知るために、登記について詳しく伺いました。

 

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▲グリーン司法書士法人・行政書士事務所代表 山田愼一さん

登記の表題部と権利部とは?

 

登記には表題部と権利部という2つがあります。
これらには、どのような違いがあるのでしょうか?

 

表題部は建物の構造や平米数、建物の所在地といった物理的な建物の情報を扱います。権利部・別名権利登記は、その名の通り建物に関する権利の情報です。その建物にどのような権利が付着しているかを一般に公開します。この権利部を確認することによって、例えば『賃借権がついているな』とか『融資を受けて抵当権がついている』とか。場合によっては『差し押さえが入っている』とか、そういった権利関係の情報を全部把握することができます。それに加えて過去の所有者の履歴も全部調べられます。しかし、権利部の登記は義務ではないんですよ。

 

義務として行う必要がある表題部と必ずしもする必要はない権利部。
山田さんによると権利部は「利益を受けたいなら自分で登記をしなさい、という考え方」のもと置かれているとのこと。もし、登記しなかったとしたら、損をするのは自分だけなのだとか。
権利部の登記、すなわち相続登記をしなかった場合、具体的にどのような損を受けることになるのでしょう。

 

登記を放置するケースは田舎の住居や山、畑でよく起こります。放置するとどのようなリスクがあるかというと、極端な話になりますが、相続人が十数人にまで増え、土地の相続自体、収拾がつかなくなってしまいます。

 

権利部の登記を怠ったことによって、相続は雪だるま式に複雑になっていき、まとめることが困難になっている方が多いとのこと。では、どのように複雑化していくのか?次の項目で詳しく解説いただきます。

登記を放置しただけなのに、途方もないトラブルに巻き込まれる

 

相続が複雑になっていく仕組みについて伺いました。

 

例えば亡くなった人の名義で、何世代も登記を放置していた空き地があるとします。空き地はしっかり管理しなければすぐに荒れてしまうものですが、登記を十何年も放置したままの土地なら、管理している人も恐らくいないでしょう。このような土地の近隣に住む住民からすれば空き地は荒れ放題、迷惑千万です。
そこで、この土地の近くに住む実質相続人にあたる人物Aが、ようやく相続登記を手続きするとします。しかし、ここでAは愕然とします。というのも、その土地の相続人が十何人も膨れ上がっていることがわかったからです。

 

一般的に相続は、家系図に従って親から子へと自動的に引き継がれるとのこと。
つまり家系図の末端にあたる孫の世代が相続人となります。持ち主の世代から離れれば離れるほど、孫がどんどん増えていく計算になります。

 

ということは手続きをやり直そうと思ったAのほかにも、相続人にあたる孫が多数います。中には顔や名前すら知らない、血縁だけの縁戚も含まれています。中間に子供のいない夫婦がいた場合には、配偶者の家系など、縁もゆかりもない人が相続人に入ってくる場合もあります。

 

高齢な人や、認知症を患っている人、行方不明で連絡先がわからない人もいます。
そんな中で売買一つをとっても話をまとめるのは困難を極めます。基本的に、土地の処分などの手続きには相続人全員に許可を取る必要があるため、相続人の意見が全員一致しなければ、何もすることはできません。
権利部の相続登記を怠ったことによって、数多くの人がこのような問題に頭を抱えているといいます。

 

権利登記を放置したら罰則があるのかといえばなく、国からの強制もなければ役所が間に入る義務もありません。相続人自身が重い腰を上げて手続きをしなければ永遠に決着しません。
しかし実際に手続きをやろうとしても、これだけ煩雑な状況では挫折する人もいます。仮に司法書士が代行して登記するにしても、大金をお支払いいただかないと処理できないほど手間がかかります。またお引き受けしたとしても話がまとまるかもわかりません。もし話がまとまらなければ最終的には調停や裁判で決着をつけることになります。しかし行方不明の相続人がいる場合、その調停もかなり手間がかかります。先述の通り、相続人全員の同意が必要だからです。実際に相続人が38人ほど存在したケースがありますが、話をまとめるのに1年半くらいかかりました。この場合は相続人の一人が、日本中に散らばった相続人をたずねて同意をとりつけたので相当なコストがかかっています。登記を代行する司法書士でも話し合いの代行はできないため、本人で頑張っていただくか、費用をはらって弁護士に頼んでいただくほかありません。

 

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権利部の登記を怠ると、ただ放置していただけなのに、このように手続きがどんどん煩雑で複雑になってしまいます。さらに、デメリットはこれだけではないと山田さん。

 

法的な責任の所在は現時点での相続人全員です。相続人は権利もありますが義務もあるので、例えば所有している古家で誰かがケガをした場合、相続人全員に賠償責任が発生します。また、固定資産税を支払う義務もあります。また、所有する土地に生えている枝が隣の家に侵入していたら、それを切ったり、その費用も負担しなければなりません。

 

共有しているとは言っても、ほぼ他人のような相続人同士なら、責任を取ろうとしない人も多いとのこと。

 

『自分は税金を払いたくない』『枝の伐採はあなたがやって』などのトラブルが起こりがちです。そういったケースは田舎にいくほど発生します。逆に都会の土地は価値が高いため、そのようなトラブルはほとんど起きません。ただし例外があり、都心のど真ん中になぜか広大な空き地やボロボロの家屋残っている場合は、権利の収拾がつかなくなっている可能性が高いですね。登記自体は大した費用ではありません。相続人が決定した時点で、すぐに手続きしておけばよいだけの簡単な話なんですよ。

相続登記でトラブルにならないために

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では相続登記が厄介にならないためにはどのような予防策が必要でしょうか。

 

所有者が亡くなり、10か月以内に手続きを終わらせておくのがベターです。あわてて行う必要はありませんが、相続税の申告期限が10か月以内なので、それに合わせて手続きすると忘れないでしょう。申告がないとしても高齢者が相続人に入っている場合も考えられるので、なるべく早く対応しましょう。

 

ただ登記をほおっておいただけなのに、いつの間にか煩雑さが雪だるまのように膨れ上がってしまうのは怖いですよね。先延ばしにせずに、できるだけ早い段階で登記の変更を済ませておくことがとても大切です。

 

 

 

グリーン司法書士法人・行政書士事務所代表
山田愼一

<プロフィール>
司法書士 行政書士、グリーンネットワーク代表、グリーン司法書士法人・行政書士事務所代表、一般社団法人日本財産管理協会会員、一般社団法人家族信託普及協会会員、NPO法人渉外司法書士協会会員。

<経歴>
2007年にグリーン司法書士事務所を創設。2010年に相続・高齢者問題への対応強化のため、グリーン行政書士事務所を創設。2014年により迅速な総合サービスを目指して協賛士業とともにグリーンネットワークを構築する。2016年には事務所への年間の相談件数が1,500件に。昨年は不動産相続・相続・信託等に関するセミナーを20件以上開催しており、高齢者問題・不動産相続問題の解決のために精力的に活動し続けている。

<URL>
グリーン司法書士法人・行政書士事務所
http://green-osaka.com/

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