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親が元気なうちに!「家族信託」を活用した不動産相続とは?

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遺産相続で発生するトラブルの多くは、財産をどのように分配するかが決められていなかったことが原因で引き起こされます。

誰に、何を、どのくらい相続するのか、被相続人である親がそれを決めていれば、多くの場合トラブルを回避することができます。

 

しかし、生前に死後のことを考える文化はまだまだ浸透しきっておらず、親が亡くなってから財産の相続について考えはじめる方が多いようです。

 

お金に関しては分けて分配することで解決しますが、不動産のような分けられない財産の場合はそうもいきません。こうした場合に共有相続などの方法を選択してしまうと、後々にお互いの意見が食い違い兄弟間でのトラブルの種になります。

 

トラブルを避けるには、生前にしっかり準備することが大切です。

遺言などの制度を利用するのが一般的ですが、その他にも家族信託という制度を利用することで、相続をスムーズに進めることができます。

 

司法書士、行政書士としてこれまでに多くの相続に関わってきたグリーン司法書士法人・行政書士事務所代表の山田愼一さんに、家族信託という制度や活用法について詳しくお伺いしました。

相続を変える制度、家族信託とは?

お金とお家

 

家族信託は、最近になって利用されるようになった制度です。遺言に変わる、新しい相続制度の仕組みとして注目されています。まずは、簡単にその制度の概要をご紹介します。

 

家族信託

家族内で財産を管理・承継できるようにする制度です。資産を持つ人が、不動産や預貯金を信頼できる家族に託して、その管理や処分を任せることができます。

 

通常の遺言が自分の子どもの代にしか財産の相続先を指定できないのに対して、家族信託は孫の代、ひ孫の代に対しても指定することができます。信託を結ぶ人同士で契約内容を決めることができるため、選択肢は無限にあり、財産に関して自分たちの想いを反映させやすいのが特徴です。

 

山田愼一さん③

 

制度としてまだ新しいということもあってまだまだ提案する人が少ないですが、将来的には司法書士や行政書士にとって必須の知識になるはずです。遺言の場合は民法でできることが決まっていて、そこから動かすことができません。それが家族信託の場合は、家族形態や関係値に合わせて、相続方法や相続人を決めることができます

 

基本的な家族信託の構造は、委託者、受託者、受益者の3つの役割で成り立っています。

委託者と受益者を親に指定して受託者に子どもを指定すれば、財産の実質的な所有者は親でありながらその管理や処分は受託者である子どもが自分の名義で行えます。

 

将来的に相続税対策が必要になったときや、家を売却しなければならなくなったときなど、本来不動産の所有者である母の意思がないと動かせなかったものが、家族信託を利用することで母の代わりに行えるようになるのです。

 

家を手に持ち悩む女性

 

持ち主の財産を他の人が管理できる仕組みとして、家族信託の他にも成年後見制度があります。しかし成年後見制度を不動産相続などに利用することはできないと山田さん。

 

成年後見制度

知的障害や認知症など、判断能力が十分でない方の財産を守るために後見人をつける制度です。その方の親族を後見人に選ぶケースが多くあります。依頼者は、後見人に対して毎月報酬を支払います。

 

例えば、相続税対策として『被相続人の財産を見かけだけ減らしていく』という方法があります。不動産であれば土地に建物を建てて価値を下げたり、お金の場合は相続税の評価が低い土地を購入して財産を少なく見せたり、相続税を取られすぎないように対策するんです。後見制度をつけていると財産を減らす行為は職務違反になり、最悪の場合は裁判所から立件されてしまいます

 

自分の親の財産であっても、自分が後見人の場合、子どもとしての立場よりも後見人としての立場が強くなります。成年後見制度を選ぶと、管理はできても財産を活用したり処理したりすることに大きな制限がかかります。

 

家族信託は、親の財産を守りながら活用や処理を信託契約の内容にしたがって自由に行える制度です。

グリーン司法書士法人・行政書士事務所では、早くから遺言書に合わせて家族信託を提案して、どちらかを選んでもらえるようにしているとのこと。

 

それでは、家族信託を利用することで、不動産相続でどのようなことができるのでしょうか。

実例を山田さんにお伺いしました。

契約次第で無限の可能性!家族信託の利用法とは?

女性の肩に手を置く男性

 

家族信託が相続で力を発揮するのは、相続相手を決めるときです。

被相続人の生存中から死後まで、不動産相続に関して柔軟に設定することができます。

 

委託者と受益者を被相続人にして、受託者に財産を渡したい相手を選びます。次男でも三男でも、長男の子どもでもかまいません。被相続人が亡くなった後は、受益者が長男、もしくはその他の誰かが引き継ぐ契約にしておきます。委託者兼受益者は代わりますが、その不動産の実質的な管理・処分の権利は受託者が持ち続けることになります

 

信託は、基本的に契約によって取り決められます。契約内容をどのようなものにするかは、基本的に「契約自由の原則」によって守られているため、一定の制限はあるものの、当事者間で自由に取り決めることができるのです。

 

この制度を活用することによって、相続時にトラブルを引き起こしやすい共有相続を解消することもできます。

 

山田愼一さん①

 

兄弟で収益物件を共有しているとして、弟の方は収益さえ入れば管理や処分は兄に自由にやってもらっていいという場合、家族信託で委託者兼受益者を弟にして受託者を兄にします。契約時、受託者である兄が売却までできるように契約しておけば、実質的にその物件の所有者は兄のみになります。弟は、賃貸での収益の一部もらえるようにすれば、共有を解消した状態を作り出すことができるのです

 

制限が多く、問題が発生しやすい相続。

特に、分けることができない不動産はトラブルが発生しやすい財産でした。上記のように家族信託を利用することで、被相続人の想いにそった相続、相続時のトラブル回避が可能になります。

 

まだまだ相続の方法として浸透していない家族信託ですが、今後はもっともっと利用者が増えていくはずと山田さん。親が高齢だという方、相続について悩んでいる方は、家族信託について専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

 

家族信託で相続の悩みを解消

説明を聞く家族

 

柔軟性の高い契約で、これまでできなかった相続を可能にする家族信託。

契約の組み方次第で、相続する財産や相続に関わる人に合わせた設定が可能となります。

しかし、素人だけで行うと複雑な契約が機能せず、思わぬリスクを招いてしまいます。

 

山田愼一さん②

 

まだまだ理解が進みきっていない制度であるため、契約時には専門家を交えて、本当に可能な契約かどうか、どこかで無理が生じていないか判断する必要があります。家族信託に興味がある方は、自分たちだけで進めずに、専門家のアドバイスを受けながら行うことをおすすめします

 

また、委託者兼受益者と受託者の2者間で進めてしまうと、家族間での摩擦につながってしまう可能性があります。家族信託を利用する場合は、家族で話し合い、同意を得ながら進めるようにしましょう。

 

家族信託は、生前の相続対策として最適な方法。しかし、万が一、認知症などにかかってしまうと家族信託を利用することができなくなってしまいます。できるかぎり親が元気で判断力のあるうちに話し合いを進め、理想的な相続を実現しましょう。

 

 

 

グリーン司法書士法人・行政書士事務所代表 

山田愼一

 

プロフィール

司法書士 行政書士、グリーンネットワーク代表、グリーン司法書士法人・行政書士事務所代表、一般社団法人日本財産管理協会会員、一般社団法人家族信託普及協会会員、NPO法人渉外司法書士協会会員。

 

経歴

2007年にグリーン司法書士事務所を創設。2010年に相続・高齢者問題への対応強化のため、グリーン行政書士事務所を創設。2014年により迅速な総合サービスを目指して協賛士業とともにグリーンネットワークを構築する。2016年には事務所への年間の相談件数が1,500件に。昨年は不動産相続・相続・信託等に関するセミナーを20件以上開催しており、高齢者問題・不動産相続問題の解決のために精力的に活動し続けている。

 

URL

グリーン司法書士法人・行政書士事務所

http://green-osaka.com/

 

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