目に見えず人によって感じ方が違う!? 新型のご近所トラブル

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不動産は立地する地域や隣接する不動産の状態が、不動産価値に大きな影響を与えます。例えば、隣の住民の理不尽なクレームや騒音に悩まされるようでは安心して暮らすことができません。このようなご近所トラブルは変わらずに存在しますが、最近ではさらに複雑化・多様化しています。

 

そこで今回は、従来型・新型のご近所トラブルとその対応方法についてご紹介します。

騒音や挨拶などのトラブル、一度は経験したことも!? 従来型のご近所トラブルとは?

 

従来からよくいわれるトラブルとして、「騒音」「車の使い方・駐車の仕方」「ペットの飼い方」「挨拶しない」などが挙げられます。

 

騒音に関しては、家の遮音性が高まれば少しは解消する可能性もあります。また、挨拶についても隣人関係が希薄になってきているのでいい気はしないもののトラブルに至ることは少なくなっています。
しかし、朝早くや夜遅く乗り付ける車の音や、近隣住民が通る生活道路での長時間の駐車など車関係のトラブルはまだまだ多くあります

 

ほかにも、ある住宅の敷地内に生えている木の枝が公道まで伸びていて通行を妨げているにも関わらず、一切切ることを拒否し、その場所に通る人を脅しにかかるというのもあります。

 

新聞やテレビなどでもよく報道される「ゴミ屋敷問題」も深刻なご近所トラブルのひとつです。ゴミ屋敷は害虫や悪臭などの環境悪化の原因になっています。しかし、そこに住んでいる人がいるので「空き家」として処理できません。また、ゴミ屋敷の住民はゴミを資産として主張しているため行政も手も出せず、一向に問題が解決しない事例が多く存在します。
ゴミ屋敷問題は、住民が孤独な高齢者が多い傾向があります。今後単身の高齢者はますます増えると予測され、テレビの中で起こっていたゴミ屋敷問題が身の回りで頻発する可能性があるのです。

新型トラブル① 化学物質に過敏に反応する「化学物質過敏症」

 

近年ではさらに厄介な「目に見えず、人によって感じ方が違う新型のご近所トラブル」が指摘されています。そのひとつが「化学物質過敏症」です。

 

化学物質過敏症とは、大量に特定の化学物質に接触した後に、少量の化学物質であっても継続的に接触することによって、同じ化学物資に再接触した場合に生じる症状をいいます。分かりやすく言えば、長くペンキ屋に勤めている人がその時は何も支障がなかったのに、また期間を経て触れることが多くなった時に、急に体の限界点を超えてしまい、アレルギー反応がでてしまう状態です。症状としては、頭痛・不眠・イライラなどが挙げられます。化学物質過敏症を引き起こす原因物質には、揮発性の高い化学物質や工場の粉塵などがあります。

 

化学物質過敏症がトラブルになるのには2つの理由があります。
ひとつは、日常生活において化学物質から免れるのは難しいことです。自然素材をなるべく使った住宅も人気がありますが、木材の柱や梁でもクロスを貼るのに接着材を使っているケースが多くあります。また、防虫や防蟻、カビ対策にも化学物質が使われているのです。

 

もうひとつの理由は、化学物質に対する症状の個人差が大きいことです。多くのハウスメーカは化学物質の使用量が少ない低ホルマリンなどの資材を使って、室内環境を向上させる対策をおこなっています。そのため一般的には化学物質過敏症の症状は現れにくくなっています。
しかし、一部の化学物質に過敏な方にとっては、自分の家のみならず隣の家の壁材にまでも反応をしてしまいます。外観から判別できる症状もなく環境基準以下の数値でしか検出されないので、アレルギー症状が何も出ていないクレームを言われた側にとっては、「言いがかり」と思えるのです。化学物質過敏症は、誰の目で見ても分かるトラブルでないため問題が深刻化することもあります。

新型トラブル② 低周波に過敏に反応する「低周波音症候群」

 

ほかにも新型トラブルのひとつに、「低周波音症候群」があります。
低周波とは100Hz以下の低い音のことです。低周波音はなんとなく音として聞こえますが、超低周波音は耳が音として認識することはできず空気の振動があることだけ捉えられます。つまり、音は聞こえないけどなんらかの気配を感じ、振動感や圧迫感が感じられるものだといわれています。低周波音や超低周波音といった低周波による不快感や圧迫感などから、心身に関わる影響が出てくるのが低周波音症候群です。

 

低周波が恒常的に発生していると、不快感のような気分の問題だけでなく、肩こり・嘔吐・食欲不振・脱毛などの症状が起こる場合もあります。

 

低周波音症候群がトラブルになる理由も2つあります。
ひとつは工場地域の住宅地化です。低周波発生の原因の多くは工場の機械やボイラー設備、室外空調機。工場は昔から存在していたものの、工場エリア・住宅エリアに分れていました。しかし、近年では工場の撤退や廃業などで工場地域内に住宅が建てられることが増えています。住宅と工場が一つのエリアに混在したことで、低周波の問題が顕在化してきたのです。

 

もうひとつの理由は、化学物質症候群と同様で個人差が大きいことです。低周波は工場以外にも、家庭内にある冷蔵庫やエアコンのコンプレッサー・換気扇・エコキュートなどの給湯器からも発生するといわれています。これらの家電製品は日常生活には無くてはならないものといえます。しかし、それらの家電製品に低周波を感じて不快感があるかどうかは極めて個人差があります。自分がエアコンの低周波を感じていなくても隣人にとっては不快なものになることもあり、それがトラブルの原因となるのです。

トラブルが起こった場合は、「見える化」をしてから話し合い

 

「化学物質過敏症」と「低周波音症候群」の2つの新型ご近所トラブルをご紹介しました。
共通することは、ある人にとっては健康を脅かすほどの深刻なことが、ほかの人にとってはまったく感じられないほど個人差が大きいことです。
このようなトラブルは事前の対策が立てにくいものです。そのため、トラブルが生じてしまった場合にはまずその発生原因を突き止めましょう。次に専門家などを呼んで数値を計り、トラブルのもとの「見える化」をします。それから話し合いに臨むことが最善の解決方法です。

 

 

 

執筆者:田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

URL:http://www.valuation.co.jp/

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