ビー玉が転がったけれど大丈夫?床の傾きの原因と予防策

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「あなたが購入を考えている家は、床が傾いています。」
そう聞くとドキッとしてしまいそうですが、実は床の傾きはよくある身近な問題です。もちろん、同じ家に長く住み続けているうちに、だんだん床の傾きが大きくなってしまうこともあります。床の傾きは健康被害にもつながるため、気を付けなければなりません。

 

これまで42,000件超のホームインスペクション(住宅診断)実績のある、さくら事務所ホームインスペクション関西の代表、大森 敞彦さんに、なぜ床の傾きが起こるのか、床の傾きを改善するにはどうすればいいのかについて、伺いました。

床の傾きの大きな原因は?

 

床の傾きと聞くと、「工事の際に欠陥があったり、床材に問題があったりするのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、大森さんは床の傾きは“地形に起因することが多い”と話します。

 

「不同沈下も起こりやすく、水害に強くない土地として紹介した『盛り土』の土地に建てられた物件は、床の傾きが起こりやすいでしょう。盛り土とは、山を切り崩して作った造成地の中でも、斜面に土砂を盛り、人工的に地面を平坦にしている場所のことです。盛り土の土地ではなくても、地盤の弱い場所に建てられた家は要注意です。たとえば、大阪市内にはかなり地盤が弱い場所が多くあります。海や田畑などを埋め立てた土地は、特に気を付けなければなりません。」

 

地形に起因すると聞くと、「まったく別のエリアを選ぶしか対策が無いのでは」と思うかもしれません。しかし、こうした場所でも、杭(くい)工事で物件の地盤を補強すれば、床の傾きを防ぐことができます。他にも、“柱状改良”といって、土の中にコンクリートの柱を造り建物の荷重を支える工事などを施すことも有効です。こうした工事が必要かどうか、どのような工事が必要かを判断するためには、のような地盤調査の実施が必要です。コストはトータルで100万円以上掛かりますが、これから家を建てようとしている場合は、お金が掛かってもしっかりと調査をし、床の傾き対策を施しておくことをおすすめします。

 

一方、これには数百万円の費用を要します。このような大きな出費を免れるためにも、中古住宅を購入する前には専門業者にインスペクションを依頼して、床の傾きが無いことを事前に確認するようにしましょう。他に、液状化現象の起こる土地も、要注意です。しかし、液状化が起きやすい土地かどうかは、ハザードマップなどで確認することはできず、実際の地震が起きてはじめてわかることが多いもの。もし万全を期したいということであれば、地盤調査を行うようにしましょう。

床の傾きの許容範囲って?

 

床の傾きは、程度によって許容範囲か否かが決まります。一般的に、傾きの具合は、国土交通省があらわした基準である「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって区分されています。

 

【傾きが3/1000未満の場合】

健康被害など:自覚症状なし

 

【傾きが3/1000以上~6/1000未満の場合】

健康被害など:自覚症状なしの場合もあるが、傾斜を感じる場合も

 

【傾きが6/1000以上の場合】

健康被害など:めまい・頭痛・ふらつき・睡眠障害など生活に支障をきたす恐れあり

 

「傾きが6/1000を越えると、健康被害の恐れが出るといわれています。6/1000ということは、3メートル間で2センチ近く傾いていること。それを考えると、傾きの大きさがわかっていただけるのではないでしょうか。床の傾きが大きくなればなるほど、違和感があり、生活に支障をきたしやすくなります。しかし、大きな傾きがあっても、慣れてしまって気付かず住み続けている人も多くいるのが実情です。」

 

以前、大森さんは中古住宅を購入しようとしている方から「購入予定の家を念のために調べてほしい」と依頼を受けて訪ねたところ、ドアを開けて少し歩いただけで傾きが感じられたこともあるのだとか。オートレーザーという専門機器で測ってみると10/1000もの傾きがあったそうです。また、20/1000もの傾きがあり、廊下を歩いているだけでつまずきそうになった家もあったといいます。

 

かなり大きな傾きがあっても、購入検討者の方は『この家が気に入った、住みたい!』と気持ちが盛り上がっているからこそ、まったく傾きを感じられない場合があります。われわれ専門家は、感覚で傾きを感知できますし、専門機材で測ることもできるので、ぜひ購入前に依頼をしていただきたいです。もし、自身の手で傾きを調べたい場合は、床にビー玉を転がすことも有効です。また、などのまっすぐな木片に糸をぐるりと巻いて壁に当て、吊るした5円玉と壁が平行かどうかを確認する方法などもありますよ。」

 

これから中古住宅の購入を検討されている方や、今お住まいの家の傾きが気になる方は、ぜひセルフチェックから実施してみてください。

床の傾きが大きくなってしまう前にできることとは?

 

生活に支障をきたしたり、体調不良を招いたりする床の傾き。予防したり、早期に気付けたりするようになるために、できることはあるのでしょうか。

 

「大切なのは日々のメンテナンスです。 半年に1回や1年に1回、家の周りをぐるりと回りながら、測り、確認して、傾きが起こっていないかを調べましょう。劣化したりシロアリに食べられたりすることによって梁や柱が痩せこけ、床の傾きに繋がることもあります。目で“見る”・カビの臭いなどがしないか“嗅ぐ”・叩いてみて“触れる”、異様な音がしないかを“聞く”など、四つの感覚を使って状態を確認してみてください。

 

こうしたメンテナンスを行うことで変化に気付くことができ、もし床が傾いてしまっていても早期に対応することができます。そうすることで、修繕に掛かる費用も抑えられるのです。

 

メンテナンスの重要性は、床の傾きに限らず家にまつわることすべてに当てはまります。そのため、戸建てに住む方は、マンションに住む人が負担している修繕積立金を払うつもりで、月1万円ずつ貯金をしておき、12〜15年目あたりで屋根の葺き替えや塗り替え、外壁の汚れの洗浄、基礎の補修などの建物の維持管理を行うようにしましょう。こうした大規模修繕をしっかりと施しておけば、次の20〜30年も安心して住み続けることができるのです。

 

「同じ分譲住宅地でも、家を建てる前にしっかりとインスペクション(建物調査)を行ったうえで建て、15年目で大規模修繕を施した住宅は資産価値も上がり、転勤などの事情により売らなければならなくなったときに買い手が付きやすいものです。」

 

床の傾きなど、「あれっ」と思う欠陥を招かない・悪化させないためにも、自身が住む家に関心を持ち、買った後も資産価値を維持・向上させるためのメンテナンスを欠かさないようにしましょう

 

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦
<プロフィール>
業界NO.1(42,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。
建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルを1つでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。
専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

<URL>
http://00002.sakura-his.com/

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