さまざまな税金に影響!年に1度公表される地価公示とは?

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2019年3月19日に、2019年1月1日時点の土地価格である「地価公示(※1)」が発表されました。
インバウンド効果で銀座の地価がまた上がった――
北海道のニセコの地価がうなぎのぼりだ――
このような新聞やテレビの報道を目にした方は多いと思います。しかし、この地価公示が一体何のためにおこなわれて、何を意味するのかを知っている方は多くはないでしょう。
そこで今回は、「地価公示」を中心に、ほかにも土地価格を表す「相続税路線価」「固定資産税評価額」についてご紹介します。

 

(※1)「公示価格」ともいわれる

2019年も地価が上昇中!インバウンドが大きく影響する地価公示

 

「地価公示」とは、国土交通省が地価公示法をもとに公表する土地評価です。社会経済活動の制度のインフラとしておこなわれます。全国の約26,000地点の1月1日時点の土地価格を調べて、毎年3月下旬に公表されます。
地価公示の役割は、「一般の取引の指標」「公共用地の取得算定基準」「税金の評価額の基準」であることです。

 

地価公示の調査は1970年に始まりました。長い期間おこなわれている調査のため、調査内容や調査地点が変更になっていることもあります。そのため、必ずしも完全に一致した継続的な調査ではありません。しかし地価公示は、土地の価格を定点観測している重要なデータとして用いられ、景気判断の材料としても使われています

 

2019年の地価公示は、全国の全用途平均が4年連続の上昇で昨年の0.7%から今年は1.2%に上昇しました。住宅に関しては0.3%から0.6%に、商業地は昨年の1.9%から今年は2.8%にと、それぞれ高い上昇率を示しています。

 

地価公示は、特にインバウンド効果の高い地域で高い上昇率を示しています。
銀座の土地(銀座4丁目の山野楽器銀座本店前)は昨年の5,550万円/㎡から5,720万円/㎡と過去最高を更新。バブル期の1991年が3,850万円/㎡だったので、それよりも約5割も高い水準となっています。
ニセコに関しては、ニセコが所在する倶知安町(くっちゃんちょう)が全国の上昇率トップ5に3地点もランクインしています。最高地点は昨年の5万円/㎡から7.5万円/㎡と1年で50%の地価上昇です。

相続税や贈与税に影響!地価公示と相続税路線価の関係

 

地価公示以外にも地価を表すものに、毎年8月頃に公表される「相続税路線価」があります。相続税路線価は、主要な市街地の道路に沿った一定の区域における土地の価値を示すものです。土地の課税上の評価を目的にしているので、国税庁が調査をおこないます。
地価公示がピンポイントの価格調査であるのに比べ、路線価はある道路に沿った一定のエリアにおける土地の価値を示します。

 

相続税路線価は地価公示の8割を目途に定められます。そのため、地価公示と相続税路線価は同じ動きで推移します。そのため、今年の1月の地価公示で上昇と判断されたエリアは、8月に公表される路線価でも間違いなく上昇することが予想されます。

 

相続税の申告・納税期間は、相続開始を知った日から10か月以内です。年初に相続が発生した場合、相続税の納税金額が上昇するのか横ばいなのか心配する方もいるかと思います。その際は地価公示を確認しましょう。相続税路線価は算定根拠に地価公示を活用しているため、地価公示と異なる動きをすることはほとんど考えられません。地価公示と相続税路線価の関係性を知っていれば、相続税の申告・納税の見通しが少しは立てやすくなるでしょう。

固定資産税に影響!地価公示と固定資産税評価額の関係

 

ほかにも地価を表すものに、「固定資産税評価額」があります。固定資産税評価額は、不動産を所有する人に課税する固定資産税を計算するときに基準となる土地の価格です。国が定めた法律に基づき、市区町村などの地方自治体が決定します。

 

固定資産税評価額は地価公示の7割を目途に定められます。そのため、固定資産税評価額も地価公示の変動にあわせてその価格が変わります

 

固定資産税は、相続税と違い毎年継続的に課税されるものです。そのため、地価の変動をダイレクトに税額に反映してしまうと、住民の安定的な生活を脅かすことになりかねません。そこで固定資産税には地価の急激な上昇に対しても、税金の負担を緩やかにするような負担調整という仕組みがあるのです。

 

 

国が示す地価公示は、相続税や固定資産税などの税額を決めるうえで重要な指標となります。また、地価公示の変動がこれらの税額に影響を与えているのは間違いありません。
また、地価公示は多くの方の生活にも深くかかわってきます。そのため発表当日だけではなく、ホームページなどを適宜確認すると理解が深まるでしょう。

 

 

 

執筆者:田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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