「街選び」が命運をわける?大雨災害に負けない住まい選び

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2018年7月の西日本豪雨は、平成に入ってから最悪の豪雨被害となりました。土砂崩れや河川による浸水などが相次ぎ、多くの建物が浸水する様子は日本中に衝撃を与えました。今後、梅雨の時期を中心にゲリラ豪雨による水害なども考えられます。いつ訪れるかわからない水害に備えるためには、どうすればいいのでしょうか。

 

不動産・マンションに精通した、さくら事務所ホームインスペクション関西の代表、大森 敞彦さんに、大雨災害への備え方やハザードマップの見方について、詳しく伺いました。

「内水の氾濫」と「河川の氾濫」水害の種類と被害

 

そもそも、水害には2種類あります。1つは、「河川の氾濫」。いわゆる「洪水」のことで、大雨が降ったときに支流の川が本流に流れ込むことです。河川の流量が急激に増加して、堤防が決壊したり河川の水が堤防を越えたりすることで、起こる氾濫のことを指します。一方で、もう1つの水害は「内水の氾濫」です。こちらは、大雨のときに、堤防で守られた内側の土地にある側溝や下水道などの排水が困難となり、溢れてしまってあたりが浸水することを指します。

 

かつては、水害というと洪水のイメージがありました。しかし、近年はゲリラ豪雨などによって私たちが想像もつかないような局地的な雨が発生していることもあり、都心部に住んでいる方にとっては、内水の氾濫の方が身近な危険に感じるかもしれません。

 

こうした水害が起こることで、街・建物・人にはさまざまな被害がもたらされます。都市部で道路が冠水したら、車が通行できなくなってしまい、移動中の方は身動きが取れません。また、地下街に水が流れ込んでしまうことも考えられます。そして何より、重大な被害の筆頭が、建物の床下浸水や床上浸水です。

 

飲食店や旅館などが浸水してしまうと、営業停止にせざるを得ないなど、経済的な被害を受けます。また、家屋が浸水してしまうと、家具が使えなくなり、電気・ガス・水道のようなライフラインが止まってしまいます。基本的に火災保険の対象は床上浸水のみ。ひどい床下浸水になっても、溜まった泥の除去作業費用などについては、全額自己負担になってしまいます。そして、浸水の二次被害として考えられるのは身体的・衛生的被害です。カビが発生したり排水の匂いが残ったりしてしまうと、体調を崩しかねません。

 

特に内水の氾濫の場合、汚水が家屋の中に入ってきてしまうことで、そういった危険性があるそうです。

 

水害による被害を避けるためには?ハザードマップの見方

水害による被害を避けるためにまずできることは、水害の起こりやすい場所をなるべく避けて住むことです。では、「河川の氾濫」や「内水の氾濫」が起こりやすい土地には、どういった特徴があるのでしょうか。

 

まず、街全体の中での低地といわれる一帯や、接している道路や隣接地より低い土地は、水が流れ込んできやすく危険です。河川の近くも避ける方が良いですが、大規模な一級河川では治水工事が進み、安全性が高まってきてはいます。

 

今住んでいる場所や今後住もうと思っている場所が安全なのかは気になるところです。そんなとき、水害の被害予測に役立つのが、ハザードマップ。ハザードマップとは浸水、地震などの自然災害が起こったときに予測できる、被害の範囲を地図に表したものです。

 

ハザードマップを見ると、河川の氾濫や内水の氾濫が起こった際に、各エリアで予測される浸水の深さの度合いが、色分けして表示されています。市単位・区単位ではなく、各エリアの中でも細かく色分けされているので、傾向などもわかって役立ちます。家をこれから購入される方はもちろん、すでに購入されている方にも、ハザードマップに一度目を通すことをおすすめします。

 

ハザードマップだけでなく、居住(予定)エリアの過去の水害被害記録の資料を確認することも有効だそうです。また、大森さんはあわせて街歩きをすすめます。

 

ハザードマップを眺めるだけでなく、住んでいる場所や引っ越しを考えている場所を実際に歩いてみることで、『やっぱりこのあたりは低地だな』や、『坂が多いな』、『この地域の中なら、A地点よりC地点の方が安全そうだ』などの気付きが得られるはずです。

 

水害による被害をできるだけ避けるためにも、まずは情報を集めて、水害が起こりづらいエリアを選ぶことが大切です。

 

万が一水害に遭ったら。被害を最小限に抑える物件の特長

 

水害の被害予測を行うことはできても、何十年や何百年に一度の記録的な豪雨が起こることは防ぎきれません。実際にそうした事象が起きたとき、住む家の強さや住む街の対策によって、被害の度合いが変わります。

 

水害に強くないのは、埋め立て地にある物件や、山を切り崩して作った造成地の中でも『盛り土』の土地に建てた物件です。盛り土とは、斜面に土砂を盛り、人工的に地面を平坦にすること。こうした場所にある物件は不同沈下も起こりやすいので、もし盛り土の物件を選ぶなら杭(くい)工事で地盤を補強しているものを選びましょう。

 

一方で、水害に強い物件を選ぶのであれば、新しい物件や分譲地がおすすめだといいます。

 

最近では、ある程度の広さがある分譲地の敷地には雨水貯留槽が設置されています。また、マンションでも止水板や土のうを保管している施設が増えています。マンションの場合、4階以上などできるだけ高い階に住むなども大切ですが、それ以上に水害対策の設備の有無を知っておくことが大切です。

 

マンションの販売センターに要請すれば、こうした情報が載った設備図を見せてくれるそうです。また、どんな家に住むかとともに大事なのは、どのような街に住むかだと大森さんは話します。

 

街並みが古い・道が狭いといったエリアよりは、都心や新しい街の方が、排水設備や側溝の整備などの水害対策も進んでいます。人員や重機の数も豊富なため、万が一水害が発生してしまった際の復旧スピードも速いでしょう。あわせて、貯留設備を備えた学校や公園などの近くも安全性が高まります。

 

「校庭貯留」といって、学校の校庭や公園等に雨水を一時的に貯留することで、河川の雨量が一気に増加するのを抑制する設備を備えているところもあるそう。こうした機能があることで、地域全体で水害を防ぐことができるのです。

 

自然災害はいつ訪れるかわからないからこそ、油断は禁物です。そして、事前の準備や対策が、家・資産・自分自身を被害から守ってくれます。まずは水害の正体を知って、ハザードマップや街歩きを参考に、大雨に慌てないための対策と住まい選びを行いましょう。

 

 

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦

<プロフィール>

業界NO.1(42,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。

建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルを1つでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。

専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

 

<URL>

http://00002.sakura-his.com/

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