省エネ基準適合義務化は見送り!今取り入れるべき仕様とは?

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

増加する住宅の消費エネルギー対策を目的とした「2020年省エネ基準適合化」が見送られました。しかし、住宅の省エネ設備の導入は必須となっています。
そこで今回は、これから新築住宅を建てようと考えている方が取り入れるべき仕様・工法、昨今の異常気象への対処についてについてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

「2020年省エネ基準適合義務化」は見送られたものの、省エネ住宅は今後増え続ける

 

まず、「2020年省エネ基準適合義務化」とはどのような制度だったのでしょうか。

 

「省エネ基準適合義務化」とは、最低限度の省エネ基準(平成28年基準)以上の断熱性能を有していない住宅は新築することができなくなる制度のことです。そこには2020年以降、平成28年基準を下回る断熱性能の住宅は許可が下りないという内容が記載されていました。

 

2018年末に国交省より小規模住宅においては延期する通達が出されましたが、省エネ性に意味がないということではありません。もし、実際に施行されていたら対応が間に合わなかった事業者が多く、住宅購入者に混乱が起こる恐れがあったかもしれません。

 

2020年省エネ基準適合義務化が見送られたとはいえ、これから新築住宅を建てる際、省エネ住宅にすることは避けて通れないと思われます。なぜなら、2020年までに新築注文戸建住宅の過半数をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※1にするとの政府目標に対し、実績が過半数の目標に達していないからです。
2018年度7月における経済産業省発表の省エネ施策の進捗状況では、2017年度の実績は約4.2万 戸(約22.9%)。2016年度比で約8千戸増でした。
そのため今後は注文住宅・建売住宅問わず、基準を満たすZEH対応の住宅がより増えていくでしょう。

 

 

※1:年間の一次消費エネルギー量「空調・給湯・照明・換気」の収支をプラスマイナスゼロにする住宅のこと

「断熱地域区分」で表される日本の断熱性の基準

 

日本家屋は、太陽が高い夏には長い軒で直射日光を避けつつ大きい窓から風を取り入れ、太陽が低い冬には直射日光を取り入れるといった工夫がされていました。しかし最近では、夏冬と記録的な気温に見舞われて冷暖房が欠かせない状態です。
冷暖房設備機器は二酸化炭素の排出が多く、地球温暖化の原因のひとつだといわれています。そのため、省エネによる二酸化炭素排出量の削減が求められているのです。

 

大手ハウスメーカーでは既に省エネ仕様の高気密・高断熱住宅が建てられています。そして近年、一般の工務店・設計事務所においても技術的に省エネ住宅の建設が可能な時代になりました。省エネ住宅は、法的に必須の24時間換気システムとの組み合わせ方(夏の冷気や冬の暖気を換気により損失しないこと)がポイントになっています。

 

また、日本各地には「断熱地域区分」が設定されています。
北海道から沖縄まで全部で8地域に区分され、それぞれの区分で壁・床・屋根などにおける断熱性の基準が省エネ基準として設けられています。

 

北海道・青森・岩手・秋田は1-3区分、沖縄は8区分となっており、南にいくほど数字が大きくなります。注意したいのが該当都道府県の多い5-6区分。これらの地域は昨今の異常気象により、住まい手側の希望や設計者の判断で上のランクの断熱性能を有する仕様を検討してもよいでしょう。

これからの新築住宅には、断熱性のある省エネ性が必需

 

フラット35や各金融機関など金利が優遇される技術基準に

 

1. 省エネルギー性
2. 耐震性
3. バリアフリー性
4. 耐久性・可変性

 

という項目があります。
今後はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が求められるので、太陽光発電を主エネルギーとした省エネ住宅が主流になると考えられます。

 

2~4の基準においては、住まい手側の必要性によって選択される範囲です。省エネ基準に適合させるために、必要な追加コストの試算例が国交省から参考として挙げられています。

 

国土交通省

 

出典:「第二次答申に向けた主な審議事項(資料編)」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001258028.pdf

 

先ほど「断熱性」の重要さについて触れましたが、もう一つポイントになるのが開口部(窓サッシや玄関ドア)の断熱性能です。せっかく断熱材の仕様を上級グレードにしても、開口部からの熱損失で断熱性が損なわれてしまいます。
サッシ枠の仕様の変更に加え、遮熱タイプの複層ガラスにすることで掃き出し窓のような大開口部も夏冬快適な室内環境にすることができます。
サッシの変更ができない内部側からのリフォームなどにおいては、室内側にサッシを追加する手法も効果があります。

 

また、建物の耐震性を上げるために柱・梁など躯体・工法にお金をかけるケースがあります。しかし根本的に、建物を建てる「地盤」の善し悪しが重要になります。そのため、新築住宅を建てる際は、地盤改良や杭工事の費用も建設費の一部として見積もっておきましょう。

 

 

「2020年省エネ基準適合義務化」の見送りによって、省エネ性能を無視した粗悪な住宅が出回る可能性があります。そういった住宅を取得しないように、購入者側もしっかりとした知識を持っておくことが重要です。
省エネ性を上げるには建設費用のコストアップにもつながりますが、イニシャルコストとランニングコスト(定期的なメンテナンスも含め)の両方を鑑みた建築計画を立て、異常気象にも負けない快適な家づくりのご参考にしてください。

 

 

 

執筆者:斎藤 進一
一級建築士
大手ゼネコンで施工管理を経験し、ハウスメーカー系工務店で設計・施工を経験。高齢者・障害者のバリアフリー住宅の専門家が当時居なかったことから2004年に「やすらぎ介護福祉設計」を創業する。
URL:https://profile.ne.jp/pf/yasuragi/

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加