定期借地権付きマンションって普通のマンションと何が違うの?

定期借地権付きマンションって普通のマンションと何が違うの?

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マンションの購入に向けて物件を探していると、周辺のマンションと比べて少し価格が安いマンションを見かけます。そのとき、物件資料をよく見ると「定期借地権付きマンション」というあまり耳慣れないマンションであることがあります。

 

提供されているマンション全体からすると棟数は少なく、一般的なマンションとは少し異なる権利のマンションです。今回は、この定期借地権付きマンションについてご紹介します。

定期借地権付きマンションとは

定期借地権付きマンションとは

 

定期借地権とは、1992年8月に「借地借家法」で制定された「借地権(土地を借りる権利)」の一種です。原則として期限の延長が可能な普通借地権とは異なり、契約の延長がなく「期間に定めのある」借地権となります。定期借地権には、以下の3種類があります。

 

【定期借地権の種類】
・一般定期借地権
・事業用借地権
・建物譲渡特約付借地権

 

一般的な定期借地権付きマンションでは、「一般定期借地権」が採用されることが多くなっています。この一般定期借地権は、権利の存続期間は50年以上であり、かつ、契約期間の延長のない借地権となっています。

 

つまり定期借地権付きマンションとは「土地の所有者からマンションの建つ敷地を借りているマンション」「その借地期間は50年以上」「借地期間の延長のない」ものです。
物件ごとに借地権の契約期間が異なりますので、物件の検討にあたっては、この契約期間の確認が必要となります。

定期借地権付きマンションのメリット

定期借地権付きマンションのメリット

 

定期借地権付きマンションのメリットについてみていきましょう。
代表的なメリットは以下の3つです。

 

1.物件価格が所有権のマンションと比べて安い

定期借地権付きのマンションは、土地を利用する権利(敷地権)が「借地権」となります。そのため、敷地権が「所有権」であるマンションと比べると、土地の権利価格が安くなり、物件価格もその分安くなります。地域やマンションのグレードなどにもよるので一概には言えませんが、「所有権」のマンションよりも2割~3割程度安いと言われています。

 

2.固定資産税・都市計画税がかからない

不動産を購入すると、取得時に不動産取得税が発生し、保有している間は毎年、固定資産税や都市計画税といった税金が発生します。しかし、定期借地権付きマンションの場合、土地は所有していないため、土地にかかる税金の支払いが必要なく、土地の不動産取得税や固定資産税、都市計画税がかからないというメリットがあります。

 

3.人気の立地に物件が供給される

都心部で駅に近く、静かな環境など恵まれた立地の土地や、いわゆる地主さんが代々引き継いできた土地などでは、所有者がその土地を売却することに抵抗感があることがあります。そうした場合でも借地であれば土地を手放すことにならないことに加え、定期借地権であれば一定の期間が過ぎると土地が更地となって戻ってくるため、土地利用に協力しやすくなります。

 

こうしたことから、本来、建てることが難しかった立地にマンションを建てることが可能になります。そのため、人気のある希少な立地に建つ定期借地権付きマンションが供給されるケースがあり、本来住むことのできなかった立地に住むことが可能になるというメリットもあります。

定期借地権付きマンションのデメリット

定期借地権付きマンションのデメリット

 

定期借地権付きマンションには、以下のようなデメリットもあります。

 

1.最終的に土地を返還しなければならない

定期借地権付きマンションでは、通常、土地の借地期限が到来したら、建物を取り壊し更地にして、土地を所有者に返還しなければなりません。そのため、その期限にはマンションを退去しなければならないことに加え、建物の取り壊しの費用も必要になります。

 

マンションによっては解体費用を毎月積み立てているところもありますが、そうした積み立てのないマンションでは、取り壊しに向けて一時的に大きな金額が必要になることもあります。
このように、最終的に土地を返還しなければならず、居住に期限があることや、解体費用が必要になることが定期借地権付きマンションの代表的なデメリットです。
そのため、子どもに資産を遺すことなどを目的としたマンション購入には不向きです。

 

2.地代が発生する

定期借地権付きマンションは、借地であるため、固定資産税等の土地に関する税金の支払いは発生しませんが、土地の所有者(オーナー)に毎月、地代を支払う必要があります。

 

また、地代は当初の借地契約によって定まっていますが、地価の変動や土地に関わる税金の増税など経済的な状況によっては地代が増減することがあるので、その点にも注意が必要です。
さらに、購入当初、借地に関する保証金や一時金がかかることもありますので、この点も確認が必要になります。

 

3.借地期間が短くなると売却しにくくなる

借地権が賃借権の場合、借地権を売却する際には、土地の所有者の承諾が必要となります。この承諾を得ることが売却の障害となることもありますが、定期借地権付きマンションの場合、あらかじめマンションの売却も想定して、原則的に所有者は借地権の売却を承諾するものとしてあることが多くなっています。

 

そのため、承諾が売却の支障となることは少ないのですが、中古として売却する場合には、借地権の残存期間が短くなると、そもそも居住できる期間が限られることから、住宅ローンが利用しづらくなることもあり、売却が難しくなってしまいます。

 

4.住宅ローンを組みにくくなることがある

所有権のものと比べて、借地権の場合は、マンションの敷地の権利が土地利用の自由度という点で劣ること、また借地期間が定まっていること、さらに最終的にはマンションを取り壊して更地にするということもあり、金融機関の考える担保としての価値が低くなってしまいます。そのため、金融機関によっては、住宅ローンの利用が難しくなることがあります。
ただし、最近は定期借地権付きマンションが少しずつ増えているため、以前に比べて住宅ローンは利用しやすくなってきています。

居住期間の制限がポイント。高コスパな定期借地権付きマンション

居住期間の制限がポイント。高コスパな定期借地権付きマンション

 

定期借地権付きマンションは、価格が安いという大きなメリットがあります。ただし、借地期限の到来とともに土地を所有者に返還するという制約があり、居住できる期間に期限があります。
そのため、子どもに引き継ぐ必要がなく、不動産を「利用する」という視点でコストパフォーマンスを考える方にはメリットが大きくなると言えます。

 

また、マンションの建物は、いずれは老朽化し建て替えする必要があります。ところが、建て替えには大きな費用がかかり、建て替えには大きな費用がかかり、その費用の捻出が困難など、建て替えに必要な区分所有者の4/5以上の同意がなかなか得られず、建て替えが難しい。という現実もあります。そういった煩わしさが面倒だと思う方なら、期限が決まっていて解体してしまうほうが却って良いという考え方もあります。いずれにしても、資産形成という視点での購入には向きません。

 

近年、新築の定期借地権付きマンションは供給数が減ってきている傾向がありますが、新築・中古を問わず購入を検討する場合には、定期借地権付きマンション特有のメリットとデメリットを理解して、検討するようにしましょう。

 

執筆者 秋津 智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。
横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。
  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加