マンション管理が市場価格に反映?マンション購入予定者への影響

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年の年初、マンション管理業協会は「マンション管理が市場価格に反映される仕組みづくり」を、2019年の主要課題として挙げました。マンションの市場価格といえば、立地や間取り、築年数等によって変わるものという印象が強いですが、それらに「マンション管理」が加わるかもしれないのです。

 

これまで42,000件超のホームインスペクション(住宅診断)実績のある、さくら事務所ホームインスペクション関西の代表、大森 敞彦さんに、なぜマンション管理が市場価格に反映される仕組みづくりが求められているのか、その動きに伴って起こる変化について、伺いました。

「マンション管理が市場価格に反映されること」が求められる背景とは?

 

そもそも、マンション管理とは3つの主要要素から構成されています。1つ目は、大規模修繕の支払いや日常管理業務を維持するために必要な費用を賄うため、予算案や収支報告書を作成する「会計業務」、2つ目は、管理費や修繕積立金を保管し、未納者への督促などを行う「出納業務」、3つ目は定期的にマンション内設備の点検や整備を行う「維持管理業務」です。そして、これらのマンション管理は、“管理組合”という、分譲マンションの区分所有者で構成される組織によって行われています。

 

では、なぜ「マンション管理を市場価格に反映させよう」という動きが起こっているのか。その理由について、新しいマンションが建て続けられていた“スクラップ&ビルド”の時代の終焉を踏まえながら、大森さんはこのように話します。

 

「買い手の数に対して、マンションが余る時代です。国も『今あるマンションを大事にしよう、活性化させよう』という政策を進めています。これまでは、駅からの距離・築年数・間取りなどが市場価格に反映されていましたが、そういった要素だけでは今のマンションの状態を正しく表すことができない。そこで、“マンション管理”を市場価格に関わるひとつの要素とすることで、マンションの活性化を促そうとしているのです。」

 

ただ、マンション管理の実態は、他の要素と比べて外から見えづらいもの。どのようにマンション管理が評価され、情報が開示されるのかは気になるところです。実は、すでに東京都では先行して「優良マンションの登録表示制度」という取り組みが進んでおり、早ければ来年にも始まろうとしています。

 

「それぞれのマンションが『修繕の実績と積立金額』『長期修繕計画』『総会や理事会の議事録』など、マンション管理の詳細資料について、登録を推奨されるようになります。こうすることで実態がオープンになり、買い手はこうした情報も参考にしながら、どのマンションを買うかを選ぶことができるようになるのです。」

 

もちろん、登録していないマンションの情報を知ることはできないのですが、情報非開示のマンションよりは情報がクリアに開示されているマンションに住みたいと思う人が多いことでしょう。こうして、“管理の良い”マンションの資産価値が上がり選ばれやすくなる流れが加速していくのです。

マンション管理には、各マンションの個性が表れる

 

マンション管理が市場価格に反映される動きに呼応するように、最近は「マンションは管理を買え」といった言葉も聞かれるようになってきています。

 

「マンション管理は“経営”とみなしてもいいと思います。法人が経営を行う際には、事業計画を立て、予算を組み、経営が黒字になるようにしないといけないですよね。マンション管理も同じです。たとえば、『長期修繕計画の見直し』もその一つ。最初の長期修繕計画は管理会社がフォーマットに当てはめて作ったもので、マンションごとに最適化されておらず、その計画のままでは破綻してしまうことがあります。そのため、適切な計画を練り直すことも、マンション管理の役割のひとつなのです。」

 

ほかに、たとえばマンション所有者から集めた管理費で業者に委託している清掃等も、清掃頻度を見直したり委託先を変えたりすることで、金額を抑えることができるかもしれません。このような交渉を行うのも、管理組合の役割なのです。また、最近ではマンション管理組合によるイベント企画やコミュニティづくりも広がっています

 

「大阪府のとある大規模マンションは、クリスマス会を企画したり、徳島県の村と連携してイベントをしたりしています。村の方々は地域の物産をPRするマルシェを開くことができる一方、夏休みにはマンションに住む子どもたちが村に遊びに行けると、両者にとってメリットがあるのです。取り組みを通じて、地域と多様に関わる人々、つまり“関係人口”が増えていきます。

 

このようなきっかけがあることで、住民同士のコミュニティ意識が高まり、マンションの管理運営もよりスムーズになります。また、同じマンションに住む同士、顔見知りになっておけば、災害時に協力しやすいといったメリットもあるでしょう。

 

また、“RJC48”という、マンション管理組合の理事長が集った組織なども生まれています。これは、ある一人のマンション管理組合の理事長が、Twitterでマンション管理における悩みをつぶやいたところ、同様の悩みを持つ理事長たちが集まってきて、結成された組織です。当初はメンバー48名を目標にしていましたが、今は180名ほどの大きな組織になっており、互いのマンションの事例紹介を行う勉強会などを開いています。

 

能動的に改革を行ったり、新しいことにチャレンジしたりしながら、自分が住むマンションの資産価値を上げようと奮闘する人たちが増えてきています。このような動きが進んでいるマンションは、「マンション管理が良い」と見なされ、今後さらに資産価値が上がっていくと予想されます。

マンションの買い手にはどのような影響があるのか?

 

では、マンション管理が市場価格に反映されることで、買い手にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

 

「先ほど事例で挙げたように、管理組合が中心となってマンションの資産価値を高めよう、健全に管理を行おうとするマンションと、何も改善せぬまま、修繕積立金の滞納者が相次ぎ、予定通りの修繕が行えず廃れていくマンションの、二極化がより進むでしょう。今後は、大都市を中心に『優良マンションの登録表示制度』が推進されるので、買い手はしっかりと情報を確認した上で、マンションを選びましょう。」

 

せっかくマンション管理の情報が開示されていても、知らずに立地や間取りだけで選んでしまったら、「そこは“組合理事のなり手がいない”“修繕積立金が集まらない”管理不全のマンションだった……。」ということも起こりえます。管理不全のマンションを立て直すにはかなりの労力が必要で非常に難しいため、必ず情報を確認して、管理状態の良いマンションを選ぶようにしましょう。

 

また、もし「情報の見方がわからない」などとお困りのときは、さくら事務所ホームインスペクション関西のような専門業者に依頼すれば、一緒に情報を閲覧してアドバイスをくれます。最近は、マンション管理に目を向ける買い手の方も増えており、そのような依頼も多いそうです。

 

後悔なく、資産価値の高いマンションに住むためにも、しっかりとマンションの管理状態に目を向けるようにしましょう。

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦
<プロフィール>
業界NO.1(42,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。
建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルを1つでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。
専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

<URL>
http://00002.sakura-his.com/

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加