築16年以内のマンションは注意!24時間換気システムの使い方

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24時間換気システムが設置されているマンションでは、基本的に換気扇は運転し続けないといけないもの。しかし換気をすると同時に「花粉やPM2.5なども室内に入ってしまうのではないか?」と気になります。

 

そこで、24時間換気システムの重要性とあわせて、気になる花粉・PM2.5の対策について、住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所を主宰する、井上恵子さんにお伺いしました。

 

2時間で空気の入れ替えができる!24時間換気システムの種類とそのコスト

――物件の広告などで目にしたことはあるけれど、「24時間換気システム」についてよく知らないという方も多いかと思います。「24時間換気システム」とはどのようなものか教えてください。

 

「24時間換気システムは、機械換気を導入して居室の空気を24時間キレイに保つシステムのことです。住宅の壁などについている給気口から外気を取りこみ、部屋の空気をキレイにしたあと、洗面所などの天井内にある排気口から汚れた空気を外に排気します。1990年代にシックハウス症候群が社会問題になったのをきっかけに、2003年に建築基準法が改正。以前は自然に空気が入れ替わればいい、という考え方が主流でしたが、同年7月以降に建てられた住宅には、機械(ファン)を使用した計画的な24時間換気が義務付けられました。換気方法には「第1種換気」「第2種換気」「第3種換気」の3種類があり、どの方法でも居室の空気を2時間で1回入れ替えられるようになっています」

 

――「第1種換気」「第2種換気」「第3種換気」、それぞれの換気システムにはどのような違いがあるのでしょうか?

 

「どの換気法を採用してもよいとされていますが、一般的に住宅やマンションに使用されるのは第3種換気です。超高級マンションや戸建て住宅であれば、第1種を採用することもあります。第2種は空気を外に逃がしにくい設計のため無菌室やクリーンルーム向きで、住宅に採用されることは少ないですね」

 

3種類の換気方法
・第1種換気:給気口・排気口、ともに機械管理。全熱交換器を組み込むと省エネ効果が高くなる
・第2種換気:給気口のみ機械管理
・第3種換気:排気口のみ機械管理

 

――マンションに多いのは「第3種換気」とのことですが、この方法が選ばれるのはなぜですか?

 

「大きな理由の一つはコストです。給排気ともに機械管理が必要な第1種換気は、換気機器の本体価格やダクト工事などイニシャルコストが余計にかかります。第3種換気は排気側のみ機械なのでイニシャルコストを第1種換気より安価に抑えることができます。また、月々の電気代(ランニングコスト)も第3種換気の方がかかりません。」

 

――ランニングコストの話が出ましたが、実際1か月にどれくらいの電気代がかかるのでしょうか?

 

「1kw/27円で計算すると、第3種換気では、月々数百円程度です。対して、第1種換気で省エネ効果の高い全熱交換器を採用すると、電気代は月々1000~2000円程度かかります。しかし、全熱交換器は外気と室内の空気の熱交換を行うことができるため、24時間換気のデメリットである熱効率の悪さが解消されるというメリットもあります」

 

人体にも悪影響の可能性が。24時間換気は止めないのが原則

 

――24時間換気することで、シックハウス症候群などの予防にはなると思うのですが「花粉やPM2.5が室内に入ってきてしまうのでは?」と少し気になります。24時間換気は止めてはいけないのでしょうか?

 

「原則として、24時間換気は止めてはいけません。シックハウス症候群の原因となる化学物質は、住まいの建材などに含まれますが、換気を続けることで減少し、5年ほどでなくなると考えられています。しかし、日々の生活において使用するガスコンロやストーブ、灯油ファンヒーターなどからも、空気中に一酸化炭素・二酸化炭素・窒素など人体に影響を及ぼす物質が発生してます。また、ダニ・ほこり・新調した家具、カーテン、おもちゃなど日用品にも化学物質が含まれている可能性があり、室内の空気は汚染されます。新築の家に引っ越して数年たったからもういいだろう24時間換気を止めてしまったり、給排気口を閉じるのはおすすめできません」

 

――なるほど。そのほかにも人体や室内への悪影響はありますか?

 

「現在の住宅は高気密・高断熱化が進んでおり、24時間換気を止めると結露ができやすくなります。すると、カビ・ダニが発生し、気管支系の病気やダニアレルギーになる可能性があります。特に、お子さんや高齢者などの抵抗力が弱い方がいる場合は気を付けたほうがいいですね。なかでも、日の当たりにくい北側の居室は要注意です」

 

花粉・PM2.5の侵入を防ぐには、まずはフィルターの確認

 

――24時間換気システムを使用しながら、花粉・PM2.5の侵入を防ぐことはできないのでしょうか?

 

花粉などの比較的大きな粒子は換気扇についている標準フィルターで防げることもあります。ただ、標準のフィルターはメーカーごとに目の大きさが違うので、一度確認してみましょう。対してPM2.5は粒子が小さく、スギ花粉の12分の1の大きさと言われています。そのため、PM2.5は、高性能フィルターでないとカットされないことがあります。また、フィルターが高性能であればいいということではなく、汚れたらこまめに取り換えるなど、日々のメンテンナンスも大切です」

 

――最も効果的な方法としては「高性能フィルターの利用」といえるでしょうか?

 

「気管支系の病気をお持ちの方やPM2.5が気になる居住地に住まわれている方は、高性能フィルターを給気口に取り付けるのが効果的です。最近は、インターネットやホームセンターで高性能フィルターが販売されています。簡単に取り付けられますし、動画サイトにも取り付け方が載っているので活用してみてください。一方、細かい粒子が除去できるということは、空気の通りもそのぶん悪くなります。粒子やホコリがたまるとさらに空気が入りにくくなるため、定期的にフィルターを交換するなど、室内の換気が不十分にならないように注意しましょう」

 

――そのほか、マンションでできる花粉・PM2.5の侵入を防ぐ対策があれば教えてください。

 

「空気清浄機の使用をおすすめします。最近は、PM2.5などの粒子が細かいものまで除去する高性能タイプも発売されています。エアコンに空気清浄機能を搭載した空気清浄機付きエアコンなど、1台で複数の役割を果たす家電も人気ですね。わたしの家族も、空気清浄機付きエアコンに変えてから、花粉症の症状が改善されました。また、花粉やPM2.5は知らず知らずのうちに家の中に入り込み、床に蓄積されるため、こまめな床掃除も効果的です」

 

 

室内の空気を綺麗に保つ「24時間換気システム」。マンションには必須のシステムですが、温かくなってくるこの時期は花粉やPM2.5が気になります。
「高性能フィルター・空気洗浄機・こまめな掃除」などの方法で、換気を続けながら花粉やPM2.5による影響を防ぎましょう。

 

 

 

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 主宰 井上恵子
<プロフィール>
一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションやオフィスの設計・インテリアデザイン、性能評価などを担当したのち2004年に独立。
独立後は子育ての経験を生かし保育園の設計などを行う傍ら、「安心・安全・快適な住まい」をテーマに生活・情報サイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活躍。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。

 

<URL>
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所
http://atelier-sumai.jp/

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