自分に合う構造は?マンションのRC造・SRC造・S造の特徴

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物件を探しているときに、構造欄の部分に記載されている「RC造・SRC造・S造」。
それぞれ何が違うのか、何を選べばいいのかわからない方も多いかと思います。

 

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そこで今回は、それぞれの構造の特徴や、ライフスタイルにあった建物構造について、住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所を主宰する、井上恵子さんにお話しを伺いました。

 

マンションはRC造が多い?!RC造・SRC造・S造の特長

 

――まずは、RC造・SRC造・S造について、それぞれの特長を教えてください。

 

・RC造(鉄筋コンクリート造:Reinforced Concrete)

「鉄筋の周りに型枠を組み、そこにコンクリートを流し込んで固めて建物をつくります。「熱に弱く錆びる」「引っ張る力は強いが圧縮力に弱い」という特徴を持つ鉄筋と、「アルカリ性で耐火性がある」「圧縮力には強いが引っ張り力には弱い」という特徴を持つコンクリートの2つの素材を組み合わせてお互いの弱点をカバーしあい、マンションに必要な強度をもたせた優れた構造です。

 

・SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造:Steel Reinforced Concrete)

「鉄筋コンクリート造の芯の部分に鉄骨を入れたもので、RC造がもつ“強度”とS造がもつ“しなやかさ”の長所をあわせた揺れにも強い構造です

 

・S造(鉄骨造:Steel)

「柱や梁などの骨組みに鉄骨を使用した構造のことです。鋼材の厚みによって、重量鉄骨構造(鋼材の厚みが6ミリ以上)と軽量鉄骨構造(鋼材の厚みが6ミリ未満)に分類されます」

 

 

――では、RC造・SRC造・S造は、それぞれどのような建物に適しているのでしょうか?

 

遮音性、耐火性、耐震性に優れている点から、RC造、もしくはSRC造はマンションに適した工法と言えます。これまでは、高層以上のマンションはSRC造で作られるのが定番でしたが、近年の技術進歩により、20階以上の超高層マンションもRC造で建てられています。コンクリートの軽量化やプレキャストコンクリート工法(※)の活用などにより、RC造の問題点が改善されました。今後は、工期とコストでメリットが多い、RC造の採用が増えていくかもしれません。」

 

※プレキャストコンクリート工法:工場などであらかじめ作られたコンクリートを、現場で組み立てる工法。これにより工期やコストが抑えられ、天候に左右されず設置ができる。

 

 

――ではS造はどのような建物に向いているのでしょうか?

 

「工場や体育館などの大きな建物にはS造が適しています。コンクリートを使わないので建物全体の軽量化を図ることができ、柱間隔を広くとることができるため広々とした空間を作り出せます。また工期が短く、コスト面でも優れているためオフィスビルに採用されることもあります」

 

「耐火性・耐熱性・遮音性・コスト」からみるメリット・デメリット

 

――では、RC造・SRC造・S造それぞれのメリット・デメリットを「耐火性・耐震性・遮音性・コスト」の面から、教えてください。

 

・耐火性
「RC造とSRC造は、使用する主材料のコンクリートが不燃性のため、非常に高い耐火性を備えています。対して、S造に使用する鉄骨は熱が加わると変形する可能性がありますが、耐火材で覆うことで一定以上の時間火災に耐えられるようになっています。」

 

・耐震性・ゆれやすさ
「耐震性の観点では、1981年以降に建てられた建物なら「新耐震基準」が採用され、RC造・SRC造、S造のどの工法でも震度6程度の地震に耐えるようになっています。一方、阪神淡路大震災では地震時のゆれが原因で転倒した家具の下敷きになって犠牲になられた方も多く、「ゆれにくい」ことも大切です。どのような構造であれ、ゆれを抑える免震構造や制振構造などを採用していると、より安心です。建物の形状や地盤の状況などによって適した方法は変わってきます。RC造、SRC造、S造といった構造別で判断するというよりも、そのような耐震技術を取り入れているかどうかに着目してみてください。

 

・遮音性
コンクリートを使用しているRC造とSRC造が優れているといえます。S造の場合は間仕切り壁の仕様によっては音漏れする可能性がありますが、近年では遮音性に配慮した仕様の間仕切壁もあるため、それらを採用していれば、遮音性は期待できます。」

 

・コスト
「建築コストでメリットがあるのはS造です。一般的に、建築コストが安い=家賃が安いといわれ、長期的に居住する場合には家賃の安さは一つのメリットになるでしょう。一方RC造とSRC造では、RC造の方が建築コストは安いです。SRC造は、RC造の鉄筋コンクリートに加えて鉄骨を使用するため、建設費は割高になるといえます」

 

 

●構造ごとのメリット・デメリットまとめ

 

【RC造】
耐火性 ◎
耐震性 〇
遮音性 〇
コスト 〇

 

【SRC造】
耐火性 ◎
耐震性 〇
遮音性 〇
コスト △

 

【S造】
耐火性 〇
耐震性 〇
遮音性 △
コスト 〇

 

 

――そのほか、構造ごとの特徴やメリットがあれば教えてください

 

RC造とSRC造に使用されるコンクリートは気密性・蓄熱性にも優れているため、断熱をしっかり施してあるマンションであれば、省エネ効果が見込めます。S造は壁の量が少なく、柱と柱の間を長くとることができる構造です。間取り変更リフォームなどがしやすく、可変性が高いことが魅力ですね。」

 

家族構成やライフスタイルから考える建物構造

 

――最後に、家族構成やライフスタイルごとに、どの構造が適しているか教えてください。

 

・音が気になる!小さなお子さんがいるご家庭
「お子さんの遊ぶ音が気になるという方には、遮音性の高いRC造またはSRC造がおすすめです。コンクリートは重量が重い材料のため、遮音効果があります。但し隣戸との境の壁もコンクリートでできていることを確認してください。」

 

・家は寝るだけ!単身の方
「在宅時間が短い人に関しては、S造もいいでしょう。実際にアパートなどではS造の採用が多く見られ、家賃等のコストが抑えられる点が魅力です。ただし、寝ているときに音が気になったら休まりません。隣の部屋との境に遮音性に優れた壁が使われているかチェックしてください。」

 

・デザイン性、重厚感、高級感・・・見た目をこだわりたい方
「重厚感、高級感にこだわりたい方は、RC造やSRC造がおすすめです。RC造はコンクリートを型枠に流し込んで作るため、型枠次第でやわらかい曲線の壁も可能です。コンクリート打ち放しならモダンに、外装材にタイルや石を使っていれば高級感も演出できます。一方、低層のS造のアパートなら、戸建て感覚で親しみやすい魅力があります。

 

・なにより安心!地震や火災に備えたい方
「火災時の安全性では、RC造・SRC造・S造のいずれでも大きな違いはありません。地震に備えたい人は、免震構造、制振構造を採用している物件を選びましょう。」

 

 

普段は意識しない建物の内部構造。しかし、構造は住みやすさに関わる大事な要素です。
大事にしたいライフスタイルや性能に応じて、住まいを選ぶ際に参考にしてみてください。

 

 

 

 

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 主宰 井上恵子

<プロフィール>

一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションやオフィスの設計・インテリアデザイン、性能評価などを担当したのち2004年に独立。

独立後は子育ての経験を生かし保育園の設計などを行う傍ら、「安心・安全・快適な住まい」をテーマに生活・情報サイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活躍。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。

 

<URL>
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所
http://atelier-sumai.jp/

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