上品なオトナの低層マンション生活

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ラグジュアリーな雰囲気のあるタワーマンションは以前から人気ですが、昨今全国的に起こっている自然災害により低層マンションの需要が増していると聞きます。しかし都市部では環境の良い低層マンション用の土地を確保するのが難しく、低層マンションの供給が限られるのも事実です

 

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▲住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所、井上恵子さん

 

今回は低層マンションのメリット・デメリットについて、マンション購入セミナーの講師もつとめる住まいのアトリエ  井上一級建築士事務所、井上恵子さんにお伺いしました。

 

低層マンションの人気の理由

まずは、低層マンションとはどういうものを指すのでしょう?

 

実は『低層マンション』という言葉に明確な定義はありません。一般的には、1~5階建てを低層、6~10階建てを中層、10~20階建てを高層、それ以上が超高層やタワーマンションと呼びます。低層マンションの特徴としては、『用途地域』と『建ぺい率』が挙げられます

 

※第一種・第二種低層住居専用の用途地域

『用途地域』とは、都市計画法によって地域地区を住居・商業・工業などに分類し土地利用を定めたもので、井上さんによるとほとんどの低層マンションが、第一種・第二種低層住居専用の用途地域に建てられています。低層住居専用地域に建設可能な建物は、住居や幼稚園、小・中・高等学校、図書館、保育園、老人ホームや診療所などと制限があり、建物の高さも10~12mに制限されているため、静かな住環境が得られます。

 

※建ぺい率の低さ

敷地に対する建築部分の面積を表す建ぺい率についても、商業地域は基本の80%に対して、第一種低層住居専用地域は30~60%と、敷地内にゆとりがあります。そのおかげで緑地率も進み、緑豊かな環境が得られます。

 

最近の低層マンションの人気については、住宅選びの際に、住環境の良さを重視する層が増えたからではないでしょうか。特に一戸建てからマンションに住み替える人にとっては、一戸建ての住環境の良さをそのまま享受できる低層マンションを選ばれているのかもしれません

 

第3の選択肢として、注目度の高い低層マンション。

つづいては、低層マンションのメリットとデメリットについて、住環境・構造・コミュニティの3つの面から、井上さんにさらに詳しくお伺いしました。

 

低層マンションのメリットとは?

 

まずは低層マンションのメリットについて。

井上さんによるとメリットには以下の3つがあるとのこと。

 

・住環境:静かで居心地の良い環境

まずは、住宅街の中に建てられているため、良好な住環境が維持されます。周囲に公園や緑地が多く、閑静で日照条件も良いでしょう。

 

・構造:耐震に強い構造

低層マンションは、一般的な高層マンション建築で採用される柱と梁で建物を支えるラーメン構造ではなく、壁で支える壁式構造が採用されることも多くあります。壁式構造は地震に強いといわれ、さらに低層なのもあいまって地震でエレベーターが止まっても、大きな影響がないのは安心ですね。

もうひとつ壁式構造の良い点としては、部屋の中に柱や梁のでっぱりがないため、見た目がすっきりし、生活空間を広くとることができます。

 

・コミュニティ:コミュニティが作りやすい

高層マンションであれば、間取りの選択肢が多く「子育て世帯」や「一人暮らし世帯」など、さまざまな方がいます。しかし低層マンションは同じ間取りの部屋が多いため、似ているファミリーが集まる傾向にありますね。周囲にどんな方が暮らしているかが分かりやすく、防犯面では大きな安心ポイントです。

 

低層マンションのデメリットとは?

つづいて、低層マンションのデメリットについて伺いました。

低層マンションのデメリットには以下の2つがあるとのこと。

 

・住環境:駅から遠いと賃貸・転売に不利になることも

低層マンションは主に低層住居専用地域に建つため、駅から少し歩くことが多いようです。そのため、都市部においては駅直結の低層マンションというのはほぼありませんし、近くに大型ショッピングモールなども期待できません。都心部から電車で30分も離れれば、駅近立地の低層マンションもありますが、そのようなケースではマンションは小規模になることが多く、世帯数が限られてくるため、共用部の充実度はあまり期待できないかもしれません。

 

また、一般的に駅からの距離は売買価格に影響すると考えられるため、マンションを売ったり貸したりすることを想定している方にはあまりおすすめしません。低層マンションを買われる方は、ここに住み続けたいと思って買う方が多いと思います。

 

・構造:リフォームがしづらく間取りの選択肢が少ない

低層マンションで壁式構造が採用されている場合、室内の一部の間仕切り壁がコンクリートでできているケースがあります。将来大がかりな間取り変更リフォームをしたいと考えても、その壁を取ることはできません。また高層マンションであれば、マンションの間取りにバリエーションがあり(通常、上にいくほど広くなる)、眺望も期待できますが、低層マンションの場合、間取りのバリエーションはそれに比べて少なく、タワーマンションのような眺望は望めません。

 

低層マンション暮らしに向いている人って?

 

低層マンションを選ぶ際には、ご自身のライフスタイルやメリット・デメリットを十分に理解して検討する必要があります。では、マンション選びのプロが語る低層マンション向きの人とはどんな方でしょう?

 

とにかく、閑静ないい環境で暮らしたいという方にはおすすめです。住環境が似ているので、戸建て住宅に長く住んでいた方なども向いています。また敷地内にゆとりがあるため緑が豊かであることが多く、共用部に畑を設け住民同士で収穫を楽しんでいる低層マンションもあります。そのためガーデニングが趣味の方や小さいお子様のいる子育て世帯の方にも向いていますね

 

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建設できる建物の用途や高さなどの制限があり、良好な住環境を確保している低層マンション。井上さんによると、都内では条件の良い土地を確保するのが難しくなってきており、根強い低層マンション需要とあいまって、人気は高まっていくでしょう、とのことです。今後は仕事の仕方やライフスタイルの多様化が進み、都市部にこだわらないファミリーに向けて郊外で低層マンションが建てられていくかもしれません。

 

2019年10月には消費税がアップする一方、住宅ローン減税の拡充など新しい施策がでています。マンション購入のタイミングに迷うこともありそうですが、「ここで暮らしたい」そう思えるマンションに出会ったときが、買い時なのかもしれません。

 

 

 

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 主宰 井上恵子

<プロフィール>

一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で、主にマンションやオフィスの設計・インテリアデザイン、性能評価などを約14年間担当したのち2004年に独立。

独立後は子育ての経験を生かし保育園の設計などを行う傍ら、「安心・安全・快適な住まい」をテーマに生活・情報サイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活躍。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。

 

<URL>

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所

http://atelier-sumai.jp/

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