住宅ローン控除が受けられない住宅とは。適用要件について詳しく解説

住宅ローン控除が受けられない住宅とは。適用要件について詳し…

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住宅をローンで購入する際に、ほとんどの方が住宅ローン控除の適用を受けられるかどうかを購入の判断基準の一つに入れると思います。住宅ローン控除は節税効果が非常に大きく、適用ができない場合には、負担が多くなってしまいます。しかし、最近はさまざまな条件が追加され、住宅ローン控除を受けやすくなりました。今回は、住宅ローン控除の適用要件について説明します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは

 

住宅ローン控除(正式名称「住宅借入金等特別控除」)は、昭和後期に始まった制度です。所得税の減税によって個人の財産形成の一つである住宅取得を支援し、住宅需要を喚起するという経済政策の目的を持ちます。2004年度の税制改正より「耐震、バリアフリー、省エネに係る改修工事を支援する」という要素が加わり、それ以降はこの要件が拡大され続けています。

 

住宅ローン控除は、個人が住宅ローンなどを利用して住宅を新築、取得、または増改築などをしたとき、一定の要件(次項で解説)を満たす場合に適用されます。年末の住宅ローン残高の一定割合を税額控除として、直接税金が減額される仕組みをとっています。

 

医療費控除や生命保険料控除、ふるさと納税(寄付金控除)などの多くの控除は「所得控除」といって所得金額から減額されるしくみで、所得控除後の課税所得に累進税率をかけるため、納税者の所得の大小によって減税額は異なります。

 

これに対して、住宅ローン控除などの「税額控除」は、税額を計算したあとに税額控除額を控除して税額を直接減額するため、減税額は所得の大小とは関係しません。しかし、税額控除は控除税額が納税者の税額を超える場合に還付を行うことはしないため、対象者の年税額が税額控除の限度額になります。

 

ローン控除の控除期間と控除額の計算は居住した年によって違い、2021年中に居住した場合には、控除期間は10年、控除金額は年末ローン残高の1%(上限額40万円)です。なお、2021年までは消費税が10%に引き上げによる措置として「特別特定取得」、さらに新型コロナウイルス感染症の影響による弾力的措置として「特別特例取得」という2つの特別措置があり、減税額が上乗せされるとともにローン控除の期間が13年間に延長されています。

 

また、「特例特別特例取得」というコロナの特別措置もあり、所得制限が引き下げられますが、床面積は緩和されています。

住宅ローン控除の主な要件

住宅ローン控除の主な要件

 

住宅ローン控除では共通要件が2つあり、両方を満たしている必要があります(耐震改修工事を除く)。

 

1. 住宅の床面積が主に50平方メートル以上で、床面積の1/2以上を自らの居住の用に供していること

2. この特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

 

また、下記のいずれかの場合には、次の2つの要件も満たしている必要があります。
一般住宅を取得した場合/認定住宅を取得した場合/中古住宅を取得した場合/借入金を利用して改修工事または認定住宅の新築等をした場合。

 

1. 住宅取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること

2. ・10年以上(改修工事の一部は5年)にわたり分割して返済する方法になっている住宅取得、増改築などのための一定の借入金または債務であること

 

このほかに住宅取得の場合は、下記の2つの要件も満たす必要があります。

 

1. 贈与による取得、生計を一にしていて、取得後も生計を一にする親族などからの取得ではないこと

2. ・特定期間内に買換え特例や交換の特例を受けていないこと

 

以上の要件に加えて、下記のように、取得した住宅の種類などによってそれぞれ必要な要件があります。

 

一般住宅を取得した場合

もっともオーソドックスなもので、共通用件の床面積や所得の要件などを満たせば、ほとんどの場合は控除を受けることが可能です。

 

認定住宅を取得した場合

認定長期優良住宅か認定低炭素住宅の新築等をして取得した場合に受けることができます。

 

中古住宅を取得した場合

家屋が建築された日から取得の日までの期間が20年(マンション等は25年)以下であるか、耐震基準に適合する建物であることが条件です。また、この2つの要件に適合しない場合(要耐震改修住宅)には、取得の日までに耐震改修を行う申請を行い、居住する日までに耐震改修を行い、証明されることが必要です。

 

借入金を利用して改修工事または認定住宅の新築等をした場合

住宅を取得した場合でなくても、すでに所有していた住宅に関して、借入金を利用して大規模改修工事を行った場合や、省エネ、バリアフリー、多世帯同居住宅のための改修工事を行った場合には、要件を満たすことでローン控除が可能です。

 

借入金を利用せずに改修工事または認定住宅の新築等をした場合

借入金を利用しなくても、省エネ改修工事、バリアフリー改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事を行った場合には、一定の要件を満たす場合には、各工事の標準的な費用の額(各限度額あり)の10%の税額控除を受けることができます。この場合は、借入金の要件は必要ありません。また、改修工事の日から6カ月以内に居住の用に供していることも要件になります。

 

同様の特別控除に、耐震改修控除を行った場合に適用される特別控除があります。この控除の要件は、1981年5月31日以前に建築された家屋で、自己の居住の用に供する家屋であること、耐震改修工事をしたことで現行の耐震基準に適合することの2つが要件になります。

 

※それぞれの要件や特別控除は年によって変更されることがあるため、適用を検討する場合には、必ず居住する年や改修工事を行う時期を確認してください。

令和4年度税制改正と今後の住宅ローン控除

令和4年度税制改正と今後の住宅ローン控除

 

2022年の改正では、住宅ローン控除の4年間の延長と消費税に係る「特別特定取得」の特例は終了する見込みです。また、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた対策のため、省エネ住宅や認定住宅などの取得の場合の借入限度額の上乗せ措置や控除期間を13年間とする措置が取られる見込みです。

 

今後の住宅ローン控除は、通常の借入金での新築住宅取得だけではなく、省エネや耐震などを税制優遇で推進していく方向へシフトしていくことが予想されます。改修工事を行う場合には、税制の動きを確認し、税制優遇を受けられるように計画していくことをお勧めします。

まとめ

以前は金融機関から住宅ローンのための残高証明書が発行されれば住宅ローン控除を受けられる場合がほとんどで、比較的容易な手続きでした。しかし、最近は住宅の取得以外の改修工事の要件が増え、控除を受けられる工事かどうかの判別が簡単にできなくなっています。自宅の改修工事を行う場合には、ローン控除を受けられるかどうかを工事の契約前に確認し、証明書の発行が可能かどうかも確認しておく必要があります。

 

また、住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要になるため、早めに書類の準備をして、忘れずに申告書の提出をしましょう。

 

執筆者:須栗 一浩 税理士 税理士法人エムエスオフィス 代表
1995年に税理士登録し、これまで個人法人の関与先クライアントは500件をこえる。個人事業の開業から、法人設立、相続税まで含めたトータルのコンサルタント業務をおこなう。企業のICT化も推進し、クライアント企業への導入も進めている。ファルクラム租税法研究会研究員

 

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