減価償却とは?該当する資産の種類や計算方法を解説

減価償却とは?該当する資産の種類や計算方法を解説

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「減価償却」という言葉を見聞きする機会は多いと思いますが、意外とどういうものなのかを知らない方が多いのではないでしょうか。事業を始めると、費用の会計処理をしていく中で、減価償却の経理処理をしなければならないケースが出てきます。税理士へ計算を依頼している場合には、「いくらまでなら一括でその年の経費にできますか」という質問をする機会はとても多いと思います。今回は、減価償却をする資産の説明や計算方法、税法とのかかわりについて説明します。

減価償却とは何か

減価償却とは何か

 

減価償却とは、長期にわたって使用する固定資産を購入した場合に、購入価額をその資産が使用できる期間に費用として配分する方法を言います。

 

費用の配分という計算方法は、次のような考え方から成り立っています。事業は売上を上げるために行うものであり、費用はそのために使われます。例えば、事業用にパソコンを購入した場合、購入して1年以内に使用できなくなってしまうことはほとんどなく、少なくとも数年間は使用することができるでしょう。このパソコンの購入費用を使用できる期間に費用として配分し、毎年の売上に毎年の費用を対応させていくという考え方から、減価償却という計算方法が行われます。この考え方を「費用収益対応」の原則と言います。

 

また、固定資産の支出を配分する期間を「耐用年数」と言います。日本では財務省令の別表で資産ごとに法定耐用年数が定められていて、法定耐用年数に従って減価償却の計算を行います。主な耐用年数の一覧は国税庁のホームページで確認してください。

 

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

 

例えば、50万円のパソコンを事業用に購入した場合、耐用年数表より「電子計算機のパーソナルコンピュータ」の欄から耐用年数は4年であることがわかります。そして、決められた減価償却の計算方法に従って、4年間で取得価額の50万を配分して、1年ずつ費用に計上していくことになります。

減価償却を必要とする資産とは

減価償却を必要とする資産とは

 

減価償却の計算が必要になる固定資産は「減価償却資産」と呼ばれます。有形固定資産の一部と無形固定資産が減価償却資産となります。

 

有形固定資産

有形固定資産は主に形のあるもので、その中で減価償却資産とされるのは建物や建物付属設備、構築物、車両、機械装置、工具器具備品などです。減価償却で最も関わる機会の多いものが、この有形固定資産でしょう。土地などのように、時の経過とともに減価していかない有形固定資産は、減価償却をして費用にすることはできません。

 

無形固定資産

無形固定資産は、有形固定資産のように形があるものではなく、特許権や商標権などの法律上の権利やソフトウェア、企業の買収などの際に会計上で発生する営業権などがあります。

 

しかし、上で挙げたものがすべて減価償却資産になるわけではなく、取得価額によって判断されます。2022年1月現在は、取得価額が10万円以上になる場合には、減価償却計算の対象になり、その年で全額費用にすることができず、取得価額を法定耐用年数の各会計期間に費用として配分します。

 

逆に10万円未満の場合には、翌年以降もその資産が使用される場合でも、減価償却の計算をせずに「消耗品費」などの勘定科目を使って、その期に一括で費用計上することができます。また、使用期間が1年未満のものは、金額にかかわらず減価償却計算をせずに一括で費用計上をすることになります(ただし、2022年の法改正で一部の取り扱いが変更になる予定です)。

 

さらに、中小企業者などが取得価額30万円未満の減価償却資産を取得して、事業に使用した場合には、少額減価償却資産として合計300万円に達するまでは、その年に一括で費用計上をすることが可能です。

 

加えて、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産は、事業年度ごとに合計し、一括して3年間で償却をすることもできます。これを「一括償却資産」と言います。

 

参照:

国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法

 

減価償却の計算方法にはいくつかの方法がありますが、主に使われるのは、定額法、定率法、級数法、生産高比例法の4つで、一般的に使われるのは定額法と定率法です。

 

定額法

定額法は、法定耐用年数内での償却額が一定金額ずつになる計算方法です。計算は取得価額を耐用年数で割るだけなので簡単です。デメリットとしては、償却費が定額で計上されるため、年数が経過して修繕費などの費用がかかってきた場合には、減価償却費と修繕費などの費用計上が利益を圧迫してしまう点が挙げられます。

 

無形固定資産と1998年4月1日以降に取得した建物、2016年4月1日以降に取得した建物付属設備や構築物の償却方法は、定額法で行うこととされています。また、個人事業の減価償却方法は定額法とされていて、定率法などの償却方法を採用する場合には、定率法などを採用する年の3月15日までに税務署へ届け出をしなければなりません。

 

定率法

定率法は、法定耐用年数によって計算された償却率を、期首の未償却残高に掛けて計算する方法です。償却当初の年度に償却費が多く計上されるため、減価償却資産の費用化が早くできるというメリットがあります。定額法のデメリットだった、償却晩年に費用が利益を圧迫するリスクもほとんどありません。耐用年数を経過した中古資産を取得した場合には、償却期間が2年になるケースがあり、この場合は初年度に取得価額のほとんどが減価償却費になります。

税法と減価償却

税法と減価償却

 

簿記で習う減価償却の計算は、決まった計算方法で行うために難しいものではありません。定額法・定率法、耐用年数などの設定があれば、すぐに計算できます。

 

しかし、税法上で取得価額によって減価償却資産とするかどうかの取り扱いの変更は、毎年注意が必要です。一括償却資産という事実上の増税があったり、経済対策として投資促進の目的から、特別償却、税額控除などを認める減税措置があったり、その年によってさまざまな取り扱いの変更があります。

 

現在の少額減価償却資産の取り扱いは、「租税特別措置法」という期限が切れてしまう法律の規定なため、「令和4年3月31日まで」という規定が延長されなければ、この取り扱いは終了してしまいます。また、2022年の税制改正で、取得価額が10万円未満の場合にも貸付が主要な事業でない場合には、減価償却資産として減価償却計算の対象になる予定です。

 

減価償却資産の税法上の取り扱いが年々複雑になっていて、毎年の税制改正を追っていないと会計処理を間違えてしまうことになるため、十分注意しましょう。ただし、通常は、過去に取得した減価償却資産について、法改正があったために償却方法を変更したりする必要はありません。

 

会計面でも、減価償却の計算方法が2007年より大きく変わり、償却率や残存価額が大きく変更になりました。そのため、それ以前に簿記を勉強していた場合には、新しい減価償却の計算方法を勉強し直す必要があります。私も以前の減価償却計算を習った組なため、改正時には頭を抱えました。

まとめ

減価償却は、経理をしていると必ず行うことになる身近な経理です。減価償却をマスターしていれば、「一括費用計上が可能かどうか」や「購入とリースはどっちが得か」が判断できるなど役に立つことが複数あります。減価償却は難しそうだと思っていた方は、まずはインターネット上の情報でもよいので、減価償却の基礎を学んでみましょう。

 

執筆者:須栗 一浩 税理士 税理士法人エムエスオフィス代表

1995年に税理士登録し、これまで個人法人の関与先クライアントは500件をこえる。個人事業の開業から、法人設立、相続税まで含めたトータルのコンサルタント業務をおこなう。企業のICT化も推進し、クライアント企業への導入も進めている。ファルクラム租税法研究会研究員

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