住宅ローンの連帯保証と連帯債務はどう違う?

住宅ローンの連帯保証と連帯債務はどう違う?

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

住宅ローンを検討していると「連帯保証」と「連帯債務」という少々堅苦しい用語を見かけます。非常に似ている言葉なので、ほとんど同じと思っている方もいるかもしれませんが、法律的には全く異なるものです。

 

特に、住宅ローンで「収入合算」を利用する場合にはその違いを理解していないと、困ったことになりかねないので注意しなければなりません。今回はこの連帯保証と連帯債務の違いと注意点についてご紹介していきましょう。

連帯保証と連帯債務の違いと注意点

連帯保証と連帯債務の違いと注意点

 

まず連帯保証(人)と連帯債務(者)の違いを説明しましょう。

 

・連帯保証

「連帯保証人」とは主債務者が債務を履行しない場合にその債務の履行を保証する人のこと。「お金を借りた人がお金を返済しないときにその返済を肩代わりする約束をした人」を指す。主債務者と連帯保証人との間は主従関係がある。連帯保証人は債務者ではない。

 

・連帯債務

「連帯債務者」は主債務者と共に主債務者の債務の履行に責任を持つ債務者のこと。主債務者と連帯債務者はともに債務者(債務者は複数)となる。「連帯債務者はお金を借りた人と同等に返済する義務を負った人」を指す。お金を貸した側からすると、主債務者1人に貸したのではなく、連帯債務者と主債務者の複数人に貸したので、どちらに請求してもよいことになる。

 

連帯保証と連帯債務の注意点

連帯保証と連帯債務に共通する注意点をご紹介しておきます。
「連帯保証人」「連帯債務者」ともに次の3つの権利がありません。

 

●催告の抗弁権がない

催告の抗弁権とは、債権者から債務の履行を請求されたときに「まずは主債務者に請求してください」と主張(請求)する権利で、この権利がありません。

 

●検索の抗弁権がない

検索の抗弁権とは、同様に債権者から債務の履行を請求されたときに「主債務者には財産があるはずだからそちらから先に請求して、私は後にしてください」と主張(請求)する権利で、この権利がありません。

 

●分別の利益がない

分別の利益とは、連帯保証人(連帯債務者)が複数いる場合に、主債務者の債務の負担をその連帯保証人(連帯債務者)の人数に応じた均等割分だけ各々負担すればよいということです。この分別の利益がないので、1人の連帯保証人(連帯債務者)が全額負担するということもあり得ます。

 

賃貸住宅の連帯保証人も、家賃の支払いという債務について同じように責任を負います。

収入合算の場合でも、金融機関によっては連帯債務を利用できない

収入合算の場合でも、金融機関によっては連帯債務を利用できない

 

住宅ローンを利用する際、特に銀行や信用金庫などから単独名義で借りる場合、連帯保証人の代わりに保証会社(保証協会)の利用が条件になることが増えています。そのため、例えば夫の単独名義で住宅ローンを利用する際、妻や親族など個人を連帯保証人として立てることはほとんどありません。

 

一方、夫婦や親子の収入を合算して住宅ローンを利用する場合には、連帯保証型と連帯債務型があり、どちらかを選択することになります。ただし、金融機関によっては収入合算の場合でも、連帯保証型のみの取り扱いで連帯債務型は利用できないことがあります。連帯債務型を選びたい場合は、金融機関が連帯債務型を取り扱っているか確認が必要です。

連帯保証型は「住宅ローン控除」や「生命保険の加入」で不利になる

収入合算で住宅ローンを利用する場合、連帯保証型か連帯債務型かで大きな違いが出てきますので、注意しなければなりません。「夫が主債務者として夫婦で収入合算するケース」で説明しましょう。

 

・連帯保証型しか選べない場合

「連帯保証型」では妻が連帯保証人となりますが、妻はあくまで夫の連帯保証人であるため債務者ではありません。「債務者でない」ということから、妻は夫が返済できないときに返済(債務)の責任を負うものの、住宅ローン控除の適用要件に該当せず、団体信用生命保険への加入ができません。

 

・連帯債務型も選べる場合

「連帯債務型」では前述のとおり夫婦2人とも「債務者となる」ため、妻も他の条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができます。また、妻の団体信用生命保険については、夫婦連生生命保険などを扱う金融機関であれば加入できる場合があります。

 

このように住宅ローンの利用に際して同じ収入合算をする場合でも、連帯保証型と連帯債務型で「住宅ローン控除の適用」と「団体信用生命保険への加入」に違いがありますので注意が必要です。

 

なお、夫婦などで利用できる「ペアローン」という住宅ローンもありますが、ペアローンは1つの不動産を購入する際、2人が1人ずつ別々のローンの債務者となり、互いにもう一方の連帯保証人となります。

 

はっきりと債務者を分けて連帯保証で繋げるというやや特殊な住宅ローンで、収入合算とは違った仕組みになっています。ペアローンは、2人ともそれぞれ債務者なので、住宅ローン控除の利用や団体信用生命保険への加入が可能です。

住宅ローンを収入合算で借りる場合「共有持分」に注意

住宅ローンを収入合算で借りる場合「共有持分」に注意

 

また、不動産の所有権に関わる部分でも収入合算の「連帯保証型」と「連帯債務型」で注意しなければならない点があります。問題となるのは共有持分という考え方にあります。

 

●共有持分とは?

共有持分とは、不動産を複数人で共有して所有する場合に、自分の権利となる割合分のことを指します。通常は不動産を取得した際に出資した割合で持分を分けます。出資した割合以上に持分を持ってしまうと、その超えた分は贈与されたものとしてその金額に応じた贈与税が発生してしまいます。

 

【共有持分の例】

夫婦が半分ずつ現金を出資して不動産を購入した場合は、夫婦それぞれ1/2ずつ共有持分を持つことになる。半分ずつ出資しているにもかかわらず、夫の持分を3/4としてしまうと不動産を購入した金額の1/4相当が妻から夫への贈与と看做され、贈与税が発生する。

 

●共有持分は債務者でなければ保有できない

住宅ローンを利用した場合、住宅ローンを借りた人はその借りた分は出資したことになるので、購入した不動産に対して住宅ローン分の持分を保有します。夫婦の収入合算で住宅ローンを借りた場合、お互いに共有持分を保有できるはずですが、連帯保証型と連帯債務型で違いがあります。

 

・連帯保証型の場合:共有持分を持てない

連帯保証型の収入合算を利用した場合、連帯保証人は収入合算していることから世帯としてみると実質的には返済の負担を追っています。しかし住宅ローンの債務者でないことから、住宅ローンにあたる共有持分を持つことができません。

 

・連帯債務型の場合:共有持分を持てる

連帯債務型の収入合算の場合は、住宅ローンを借りた際の収入の割合など合理的な計算根拠で説明できる住宅ローンの金額分の持分を持つことが可能になります。

 

収入合算で住宅ローンを利用する場合、「連帯保証型:共有持分は持てない」「連帯債務型:共有持分を持てる」と覚えておきましょう。いずれも間違った持分とすると贈与税の課税対象になってしまうことがあるので注意しましょう。

まとめ

連帯保証と連帯債務は、言葉が似ているものの、法的に全く違う性格のものです。住宅ローンを収入合算で利用する際、この違いを理解していないと住宅ローン控除の適用や団体信用生命保険の加入で困ることになります。また、住宅の共有持分を間違うと贈与税の負担が発生する可能性もあるので、よく理解して正しい選択をするよう心掛けましょう。

 

執筆者

秋津 智幸 不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。
横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。

 

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加