諸費用に注目した金融機関の特徴と住宅ローンの借入先の選び方

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住宅ローンの借入先を探そうとしている方向けに、住宅ローン選びのヒントとなる、諸費用について解説します。金融機関のサイトを見ると、金利の高低差が気になるかもしれませんが、金利だけでなく保証料や事務手数料、各種保険料などの諸費用にも大きな差があります。

 

この記事では、住宅ローンの総支払額をできる限りおさえるために、金融機関による諸費用の違いを紹介し、借入先をスムーズに選ぶための方法や考え方をお伝えします。

住宅ローンにかかる諸費用

住宅ローンの借入先を選ぶ際には、金利だけでなく諸費用に注目する必要があります。近年の低金利傾向から、金利だけでは金融機関の差がつきにくくなっていることもあり、諸費用を含めた総支払額に差が出ています。おもな諸費用には次のようなものがあります。

 

<住宅ローンにかかる諸費用>

保証料 保証会社から保証を受けるための費用。借入金額や返済期間などによって保証料は変動するが、保証会社を利用しない金融機関から借り入れる場合は無料となる。

 

事務手数料 融資手数料、融資事務手数料ともいう。金融機関に支払う手数料。保証料のない金融機関でも、事務手数料は発生する。保証料とは別に数万円程度の事務手数料が必要な金融機関もある。

 

団信保険料 住宅ローンの利用者に万一のことがあった際、住宅ローンの残高がゼロとなる保険の費用。基本的な保障なら金融機関が保険料を負担するが、保障を充実させる場合は、金利の上乗せや保険料の支払いが発生する。

 

火災保険料

地震保険料

住宅ローンの融資条件に火災保険への加入があるため、住宅ローンと同時に加入する必要がある。必ずしも金融機関や不動産会社が勧める火災保険に加入する必要はない。地震保険料については、どの保険会社でも同じ。

 

収入印紙 住宅ローンの契約書に貼付する収入印紙代。かかる。

 

登記設定費用

司法書士報酬

不動産を登記する際に必要となる、登録免許税や司法書士報酬の費用。

 

 

住宅購入時の費用として、不動産仲介業者に支払う仲介手数料なども諸費用に該当しますが、上記では住宅ローンにかかる諸費用のみを紹介しました。金融機関を選ぶ際には、上記のような諸費用を合計して比較検討します。借入金額が同じでも、借入先によって返済負担が異なりますので、十分確認しておきたい項目です。

金融機関によって異なる諸費用のしくみ

住宅ローンの金利は、選択する金利タイプ(変動金利型や固定金利型など)、返済期間、借入金額(融資率)によって異なりますが、これらを決めてしまえば、金利水準が分かりますので、比較検討しやすいといえます。一方、諸費用にはさまざまな種類があり、団信保険や火災保険などの保険選びも加わりますので、諸費用を含めた比較検討にはコツがいります。そこで、諸費用の取り扱いにどのような違いがあり、どのような点に注意すればいいか解説します。

 

あまり差が出にくい諸費用

・収入印紙

・登録免許税

・司法書士費用

などは金融機関を比較検討する際にあまり差が出ず、判断材料にならない費用です。

収入印紙、登録免許税は税金ですので、どの金融機関を選んでも差は出ません。また、司法書士費用は、一般的に金融機関の指定する司法書士に依頼しますので、自由に選べるわけではありません。司法書士への報酬額で差がつく可能性もありますが、金融機関を絞り込む段階ではあまり気にしなくてもいいでしょう。

 

そのため、差の出やすい「保証料と事務手数料」「団信保険料」「火災保険料」についてまとめます。

 

保証料と事務手数料

諸費用の大部分を占めるのが、保証料や事務手数料です。都市銀行や地方銀行などでは、保証会社を利用しているため、保証料と事務手数料がかかります。一方、ネット銀行では、保証会社を利用しないため保証料は無料ですが事務手数料がかかります。保証料が無料だからといってネット銀行のほうが安くなるとは限りませんが、基本的にはネット銀行のほうが安い傾向にあります。

 

都市銀行などの保証料は借入金額や返済期間などによって異なり、借入審査により決定します。一方、ネット銀行などの事務手数料は「借入金額×〇%」(定率タイプ)としている金融機関が多く、単純に借入金額が多いほど事務手数料は高くなります。また、事務手数料を「定額」としている金融機関もあるなど、事務手数料の設定方法にも違いが見られます。

 

団体信用生命保険料(団信保険料)

保証料と事務手数料については、金融機関サイトの住宅ローンシミュレーションのツールを使えば、概算ではあるものの自分で計算することができます。これに対し団信保険料については、保険ですので保障内容を検討する必要があり、選びにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

特約のつかない一般的な団体信用生命保険は、住宅ローンの債務者(利用者)が死亡または所定の高度障害になったときに、以後の住宅ローンの返済が免除(残債がゼロ)となる保険です。この「一般団信」にさまざまな特約が付いた商品に違いがあります。特約には次のような種類があります。

 

<団信に付けられるおもな特約>

三大疾病保障 所定のがん・心筋梗塞・脳卒中になったときに住宅ローンの残高がゼロとなる。

 

七大(八大)疾病保障 八大疾病保障なら、三大疾病保障に5つの重度慢性疾患である高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵(すい)炎を加えた保障。対象となる疾病数が同じでも、保障内容が同じとは限らないため、注意が必要。

 

全疾病保障 あらゆる病気やケガに対して保障がある保険。症状によって保障内容は異なる。

 

がん保障 がんに特化した保障で、一般的にがんと診断された場合に住宅ローンの残高がゼロとなる。

 

自然災害時債務免除 自然災害による被害状況に応じて、毎月の返済額が免除される保険。

 

※上記の保障をすべて選べるわけではなく、金融機関によって選べる保障が異なります。

 

最低限の保障で問題ない方や加入中の保険で十分な方は、団信の比較は後回しにでき、保証料・事務手数料を中心に総支払額を計算できるため、借入先の比較検討がしやすくなります。

 

団信の保障を含めて比較検討したい方で、金利の上乗せや保険料の支払いをなるべくおさえたい場合は、借入先選びに時間がかかるかもしれません。

無料の場合は、保障内容に納得していれば検討の必要はありませんが、金利上乗せとなれば、現在加入中の保険を含めた検討が必要でしょう。基本的には、保障を充実させれば金利に上乗せされ、総支払額は増えますが、保障を充実させても無料としている金融機関もあります。そのため、団信の保障内容を重視する場合、保障内容から絞り込んだほうが比較検討しやすいといえます。

 

火災保険料

火災保険は金融機関や不動産会社が提携している保険だけでなく、自分で探した保険に加入することもできます。金融機関や不動産会社が勧める保険であれば比較検討する手間を省くことができますが、火災保険料を節約したい場合は、自ら探したほうが多くの選択肢から選ぶことが可能です。数十万円程度の差が開くこともありますので、時間がある場合は自分で探したほうがよいでしょう。

金利だけでなく、諸費用もしっかり確認する

ここまで諸費用の違いについて解説しましたが、借入金額や返済期間などの借入条件によって状況は異なります。しかし、金利だけでなく諸費用も十分比較検討しなければ、100万円程度の負担が増えることも考えられます。

 

各金融機関のサイトにはシミュレーションツールがありますので、ツールを使いながら比較するといいでしょう。諸費用は金融機関に対してだけでなく、仲介手数料など、不動産仲介業者に対して支払う費用もあります。総支払額をできる限りおさえたい方は複数の会社を比較検討することを心がけましょう。

 

【執筆者プロフィール】藤 孝憲

ファイナンシャルプランナー(CFP®)

個人相談・ライフプラン作成・保険販売などの経験をもとに、商品販売をしないファイナンシャルプランナーとして、生活者の立場にあった商品選びなどについて情報発信している。

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