この時期だからこそ、e-Taxで申告書を提出してみましょう

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2020年は新型コロナウィルスの流行が社会に大きな影響を及ぼしています。例えば、流行は2月中旬頃より広がり、ちょうど確定申告書の提出期間(2月~3月16日)と重なったため、国税庁は税務署などでの申告書提出を控えるように呼びかけ、提出期間を延長するなど対応しました。そこで、国税庁があらためて推奨したのがe-Tax(国税電子申告・納税システム)です。

今回は個人の確定申告書のe-Taxを使った新規手続きや提出方法について説明します。

e-Taxとは?

e-Taxは2004年に始まった国税の申告書等の電子送信制度です。

しかし当初は普及率が上がらず、2007年から2012年までは電子証明書等特別控除という税額控除の補助を行った時期もありました。当初に普及しなかったのは、開始届を書面で提出しなければならないなど手続きを始めるまでの手間がかかる点や、ほとんど持っている人のいなかったICチップ付きのカードを使わなければならなかった点などが原因です。その後、電子申告をするにあたって必要な利用者識別番号(ID)の取得がインターネット上でできるようになり、マイナンバー制度が始まったことでICチップ付きカードも無料で取得できるようになりました。これにより普及率は上がっていき、一般の納税者でも始める方が増えたのです。2018年度の所得税確定申告のe-Tax利用率は57.9%で毎年増加しています。(※1)

2018年よりスマホでの一部の申告も可能となり、この先はより身近な申告書の提出方法となるでしょう。

 

(※1)出典:国税庁「平成30年度におけるe-Taxの利用状況等」

マイナンバーカードの取得方法

e-Taxと聞くと難しく感じる方も多いかもしれませんが、設定さえ完了してしまえばそれほど難しくはありません。

まずは、マイナンバーカードを取得します。マイナンバーカードは郵送やパソコンによる申請でも取得可能ですが、スマートフォンによる取得申請が簡単です。

通知カードに記載されている申請書IDと氏名・メールアドレスを登録し、顔写真をアップロードして生年月日など必要事項を登録すれば申請は完了します。申請後はマイナンバーカードが郵送されてくるのを待つだけです。

混雑具合にもよりますが、申請してから約1カ月でマイナンバーカードが郵送されてきます。(※2)

 

(※2)出典:地方公共団体情報システム機構「スマートフォンによるマイナンバーカード交付申請」

 

利用者識別番号の取得

利用者識別番号とはe-Taxを行う際のIDで、今はインターネット上の取得サイトで簡単に取得することができます。国税庁「電子申告開始届出書」のサイトから約3ステップで登録が完了し、完了画面に利用者識別番号と設定したパスワードが表示されます。(※3)

登録内容の確認画面と完了後の利用者識別番号とパスワードが表示された画面は、PDF形式などでPCに保存をするか、プリントアウトするなどして必ず保管しましょう。利用者識別番号は簡単に取得することができるのですが、忘れてしまうと再発行の手間がかかり新しく取得しなおすほうが早い場合もあります。e-Taxは過去の申告内容が保存できたり予定納税の税額などのメッセージが入る仕組みになっていたりして便利ですが、利用者識別番号を取得し直すと過去のデータは無くなってしまうので注意しましょう。

e-Taxは、検索サイトで検索をすると、目的の国税庁のe-Taxサイトが最初に出てくるわけではなく、広告サイトが先に出てくるため、間違えて有料サービスを契約してしまったという話も聞きます。e-Taxの登録や手続きは無料なので、十分ご注意ください。また、国税庁のe-Taxサイトは、申請画面とHELP・操作説明画面が混在していて目的のページを探しにくいという難点がありますので、ページの内容をよく確認して目的のページを探しましょう。(※4)

 

(※3)出典:国税庁「e-Taxの開始(変更等)届出書とは」

(※4)出典:国税庁「電子申告開始届出書」

カードリーダーの購入やソフトウェアのインストール

マイナンバーカードが届いたら、カードに入っているICチップの情報を読み取るカードリーダーを購入しましょう。e-Taxで申告書データを送信する際に電子証明書で申告書データに署名するため、ICチップから電子証明書を読み取るICカードリーダーが必要となります。マイナンバーカードを使ってe-Taxに使用できるカードリーダーは、公的認証サービスに対応している必要があるため購入前に必ず確認してください。

ICカードには接触式と非接触式があり、[Suica」や「PASMO」は非接触式ICカードで、マイナンバーカードは両用カードです。カードリーダーはどちらかのICカードだけでなく、両方のカードを使えるものもあり、公的認証サービス対応機種であれば、汎用性のある両方のICカードを読み取れる機種の購入をおすすめします。。値段は1,000円~3,000円程度です。

購入したらカードリーダーをパソコンで使えるようにするため、ドライバのインストールが必要です。e-Taxに必要な環境は下記のホームページから「確定申告書等の作成」へ進んでいくと、e-Taxに必要なソフトウェアのインストール(事前セットアップ)が行われるようになっています。(※5)

 

(※5)出典:国税庁「所得税の確定申告」

e-TaxソフトWEB版

パソコンで確定申告書を作成する際には、国税庁のホームページ内にある無料のe-Taxソフト・WEB版を使いましょう。e-Taxソフト・インストール版もありますが、こちらは非常に難解で簡単に使えるものではないので、必ずWEB版を使ってください。

WEB版は申告書を作成していく過程がYes・No形式など選択式になっている箇所が多く、源泉徴収票の入力も現物と同じ画面になっているので迷うことが少ないでしょう。医療費控除やふるさと納税の入力も領収書や証明書から直感的に入力ができるようになっていて、すぐにわかると思います。

書類が足りないなど不備があると入力を途中でやめなければならないケースもありますが、WEB版は入力途中での保存も可能のため後日途中から入力することもできます。

入力がすべて終わったらカードリーダーで電子署名をすると送信データができます。これはボタンを何度か押すことで済みます。そして送信(提出)準備ができたら、送信ボタンを押すことで申告書の提出が完了します。提出が完了すると、申告済みの申告書と「メール詳細」という書面ができますので、この一式をプリントアウトすれば金融機関などに確定申告の控えとして提出が可能です。

e-Taxのメリット・デメリットとは?

メリット

  • 何といっても税務署へ出向くことなく申告書の提出が可能なことです。確定申告の時期に税務署で長く待たされることは一切なくなり、申告済みの申告書の控えはいつでも何度でも自宅のパソコンからプリントアウトすることが可能です。
  • 一度e-Taxソフト・WEB版に基本データを登録すると、翌年以降に同じ情報を入力する必要がなくなります。
  • Pay-easyによりインターネットバンクからの納税が可能です。
  • 還付申告の場合には、申告書提出から還付金が振り込まれるまでの時間は、紙による申告書提出に比べて大幅に短縮されます。
  • これまで一緒に提出していた医療費の領収書や各種控除の証明書の提出も省略できます。省略可能な書類の範囲は年々広がっているので送信時に確認をしてください。
  • 簡単な入力ミスや漏れを防ぐ仕様になっている箇所があり、間違った申告書の提出防止にもなります。年々進化しており今後はさらに改善されていくでしょう。

 

デメリット

  • 前述しましたが、利用者識別番号とパスワードを忘れてしまうと再取得に面倒な場合が多いことです。それでも以前は書面による再発行申請が必要でしたが、サイト上での確認が可能になるなど、改善はされています。
  • マイナンバーカードには有効期限があり、期限が切れる前に必ず更新をしなければなりません。
  • e-Tax開始初年度のカードリーダーとICカード関係の設定が意外と面倒です。

 

e-Taxは年々進化しており、かなり容易に申告書提出手続きができるようになってきました。この先もマイナンバーを使うことで申告情報を自動で取り込めるようになる予定で、会社で徴収された社会保険料や年金の受取り情報はもちろん、医療費の入力すら必要ない時代がやってくるでしょう。説明のサイトで使い方を理解するより、ともかく“慣れ”が必要で、今のうちにe-Taxの開始手続きを済ませ、来年の確定申告はe-Taxで申告書を提出してみましょう。

 

【執筆者プロフィール】須栗 一浩(税理士)

税理士法人エムエスオフィス 代表税理士

平成7年税理士登録・開業。平成27年より税理士法人へ合流。現在に至る。会社税務から個人の確定申告、相続税に至るまで活動範囲は広い。固くない、いつでも話せる税理士としてクライアントからの信頼は厚い。ファルクラム租税法研究会研究員

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