下落

不動産バブル崩壊に備えて。「金融と株式」の動向から予知する…

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2019年12月現在、今を「不動産バブルだ!」という人がいます。

また、「不動産はまさに今バブル、残された時間はあと1年!?」という広告もよく見かけます。

 

この広告の真偽は別として、右肩上がりの不動産価格は、いつ下がるかわかりません。「もうそろそろ天井かな?」と思えばまだ上がり、「まだ上がる」と思えば今度は下がります。株式投資の世界では「もうはまだなり。まだはもうなり。※1」といった相場格言もあるほどです。

 

※1:もうはまだなり。まだはもうなり。
微妙な相場の変化に対して、自分だけの独善的な判断を振り回すことが、いかに危険であるかを説いた言葉

 

では、今上がっている不動産価格の頂点は、いったいどこなのかまったくわからないのでしょうか?

筆者は、それを予測することが可能だと考えます。

 

バブル崩壊やリーマンショックを経験した筆者が、不動産バブルがはじける仕組みについて解説していきます。

 

不動産価格は「人口動態・訪日観光客数」に左右される

 

そもそも、不動産の価値はどのようにして決まるのでしょうか?

基本の“き”として、次の格言を知っておきましょう。「不動産は、人間がいて初めて価値が生まれる。

 

人間は、24時間不動産に囲まれて生活しています。外に出れば土地の上を歩き、中に入れば常に建物に触れています。起きているときも寝ているときも、見回せば常に不動産に囲まれて生活しているのです。このように、不動産は人の生活と活動に欠かせないものなので、人はお金を出して土地を買ったり建物を建てたりするのです。

 

そのため、人が多くいる場所の土地は高く、だれもいない場所の土地は値が付きません。東京は多くの人が住み、京都には観光客が多い、だから土地の値段も高いのです。人が増えれば土地価格は上昇しますが、人口が流出し“シャッター通り”といわれる地方の商店街は、土地の価格が下落します。

 

つまり、人口動態や、訪日観光客数などウォッチしていれば、値上がりと値下がりの大雑把な傾向をつかめるということです。株式市場でいう「ファンダメンタルズ」に相当します。

下落の3ステップ。金融政策・株式市場の動向からわかる「予兆」

 

不動産価格が下落するときは、必ず予兆があります。これまでの経験則も踏まえると不動産バブルは次のようなステップで崩壊していきます。

 

①金融引き締めが起きる

②株式市場が大暴落する

③不動産価格がどんどん下落する

 

幸いなことに①が起きて③に至るまでには、半年から1年程度のタイムラグがあります。株式市場の暴落は突然やってきますが、不動産市場の暴落は予測することが可能なのです。では、なぜこのような順番になるのかみてみましょう。

 

①金融引き締めが起きる

不動産を買うときは、借金をするのが一般的です。それは居住用のマイホームでも、投資用の不動産でも同じです。借金をするにあたって、金融機関による審査を受け、通れば貸してくれます。金融機関がそもそも貸してくれなかったり、さまざまな条件を付けられたりするとお金を準備できずに不動産を買えなくなってしまいます。つまり、金融機関の融資姿勢によって不動産の買いやすさが左右されるのです。

 

金融機関は金融庁の管轄にあります。その金融庁が不動産の融資に規制をかけると、金融機関は不動産の購入のための融資を断るようになるでしょう。さらに進めば「貸し渋り」「貸し剥がし」となるわけです。

実は現在、金融庁は不動産融資に注目しています。金融庁から公開されているレポート※2をみると、過去に類をみないほど不動産への貸し出しに注意していることがわかります。実際、アパートローンはずいぶん借りにくくなりました。これがさらに大規模な規制に至るようであれば、バブル崩壊の予兆となるかもしれません。

 

※2:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」

https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328.PDF

 

②株式市場が暴落する

不動産と株式は、一定の関連性があります。世界中の投資マネーの行き先は、大まかに分けると「株式」「債券」「不動産」の3つですが、重要なのが“「不動産」は購入するにも換金するにも時間がかかる”ということ。株式はいつでも証券市場で換金できますが、不動産を売るには数カ月が必要です。

 

例えば、突然株式市場が大暴落したとします。世界恐慌やブラックマンデーといった大規模な暴落です。

株式市場が大暴落すると、一般的に投資家は、穴埋めや当面の資金繰りのためにお金が必要になります。普段はニコニコ貸してくれる銀行も担保割れになれば返済してほしいといってくるでしょう。そんなとき、投資家は「不動産を売って返すから返済はちょっと待って!」といった行動をとると思います。そうして、投資家はみんな競い合うように保有している不動産を売りに出すのです。

 

資金繰りに余裕がなければ「安くしてでもいいからとにかく早く売って!」と希望する方もいるかもしれません。銀行に差し押さえられて競売にかけられてしまう可能性もあります。株式市場の大暴落時には上記のような行動をとる方が増えるため、不動産価格の下落のサインになるのです。

 

③不動産価格がどんどん下落する

先述したように、株式市場が暴落しているとき銀行から借金を早く返すようにいわれ、資金繰りに行き詰まる投資家がたくさん出てきます。資金繰りのために、安価で不動産を売却してしまう投資家が増えることで、不動産価格はどんどん下落していくのです。

 

ですが、これにより安くなっているからといって、焦って不動産を購入する必要はありません。この先、待てば待つほど不動産が安く買えることがわかっていれば、購入したい人もしばらくは買わずに待つでしょう。

 

過去の経験を踏まえると、不動産価格の暴落はだいたい上記のような過程を経て起きているといえます。
大切なのは、株式市場をみていれば、不動産市場の暴落を予測でき、金融政策をみていれば、さらに早い段階で変化を察知できるということです。おおよそ、株式市場がピークに達してから数か月後、不動産市場もピークを迎えます。

借金に追われる人生にならないために

 

現在の株式市場、不動産市場はどうなっているのでしょうか。

金融政策の変化は、今のところ投資用の不動産にとどまっているといえるでしょう。

 

株式市場をみても、1日で一気に20%も暴落するようなことはまだ起きていません。とはいえ、過去の不動産価格の下落を参考に賃料収入と返済額を管理し、余裕をもって資金繰りを行い、資産を守ることが重要でしょう。

 

最後に、次の格言をご紹介します。

「バブルだったかどうかは、崩壊したあとに初めてわかる」

バブルという言葉に惑わされることなく、いつ崩壊が起こっても大丈夫なように準備しておきましょう。

 

 

【専門家プロフィール】
中山聡 不動産鑑定士・建築士

富山県生まれ。東京大学医学部を卒業後、早稲田大学大学院ファイナンス研究科招聘研究員、不動産開発企業(現:日本アセットマーケティング株式会社)、信託銀行(現:三井住友信託銀行)、近畿大学工学部、チームラボ株式会社などにて、インターネットで不動産取引ができる環境づくりを中心に、研究開発室長、経営監査部長として事業開発、M&A、事業会社管理に携わる。2012年に帰省し、現在に至る。

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