耐震基準と耐震等級。安全な住宅に住むために知っておきたい違い

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地震が多い日本では、住宅性能として最も気になるのが「耐震性能」ではないでしょうか。

 

耐震性能を示す指標には、「耐震基準」と「耐震等級」の2つが存在しています。似たような言葉ではありますが、それぞれ意味が異なる要素です。そこで今回は、耐震基準と耐震等級の違いについてご紹介します。

必要最低限の耐震性能「耐震基準」

 

耐震基準とは、「建築基準法」及び「建築基準法施行令」によって定められた耐震性能の基準です。建築確認申請手続きを通じて、建築の許可をするための条件として国が定めています。
そのため、耐震基準に適合していない住宅などは建築確認の許可が下りず建築することはできません。つまり、世の中に存在している建物は原則建築確認許可が下りた建物であるとも言えます。

 

しかし実際には、「違法建築の存在」「耐震基準の見直しの存在」の2つの理由によって、耐震基準に適合していない建物が存在しているのです。

 

●違法建築の存在(耐震基準を満たしていない建物)
近年、建築基準法などに違反した住宅問題が大きなニュースとして取り上げられています。大規模マンションでは、「基礎杭の長さ不足」によって耐震基準を満たしていないことが明らかとなり、建て替えを余儀なくされた問題もありました。
このように、今も昔も一定割合で建築基準法違反の住宅が存在しています。耐震基準違反の住宅が一定数存在していることを念頭に置きましょう。また、消費者自身では違法建築かどうか判断するのは難しいものです。建築士や住宅インスペクターに住宅診断を依頼することが唯一の対策となります。

 

●「耐震基準」の見直しの存在
1950年に制定された建築基準法の制定以降、耐震基準に関しては大きな見直しが3回おこなわれました。そこで、現在運用されている2000年の改正内容に基づいた耐震基準を満たしていない住宅が存在するのです。

 

・1971年(RC造の構造基準強化)
・1981年(新耐震基準の誕生)
・2000年(木造の耐震基準強化)

 

また、木造住宅に関しては、
・「1981年より前に建てられた住宅(旧耐震住宅)」
・「1981年~1999年に建てられた住宅(新耐震住宅)」
・「2000年以降に建てられた住宅(改正新耐震住宅)」
の3種類が現存しています。

 

現在の建築基準法(耐震基準)に適合しているのは、「2000年以降に建てられた住宅」「1999年以前に建てられて現在の耐震基準に沿って耐震改修された住宅」です。つまり、1999年以前に建てられて耐震改修されていない木造住宅は、耐震基準を満たしていないことがあります。

人命に加えて住宅を守ることが目的となっている「耐震等級」

 

耐震等級とは、2001年に施行された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」にて規定された耐震性能の指標のこと。耐震基準とは異なる法規によって定められている耐震性能の指標で、耐震基準とは連動性のない要素です。

 

「耐震等級(品確法)」を満たしていなくても、「耐震基準(建築基準法)」が満たされていれば建築できます。住宅全体を見ても、耐震等級の認可を受けた住宅数の割合は少ないものです。

 

耐震基準と耐震等級の最大の相違点は、耐震基準は人命を守ることを目的として設定されているのに対して、耐震等級は人命に加えて住宅を守ることが目的となっている点です。例えば、大規模地震においては「人命確保」と「住宅の損壊を極力小さくする」ための性能指標が耐震等級になります。

 

●耐震等級の種類
耐震等級には下記の3段階の指標が定められています。

 

・耐震等級1
建築基準法で定められている耐震基準と同等の基準内容です。耐震基準を満たしている住宅であれば、申請することで「耐震等級1」の認可が得られます。

 

・耐震等級2
耐震基準を上回る耐震性能を得るために「仕様規定(壁量計算)※1」に加えて、「耐震計算※2」も用いて設計された住宅が対象です。

 

・耐震等級3
本格的な構造計算となる「許容応力度計算 ※3」を用いて設計された住宅が対象です。

 

※1 建築基準法にて定められた各種規定(材料、耐震数値、施工方法など)に沿って「耐震壁の量と配置」を設定。条件を満たすことで耐震性能を確保する方法。
※2 簡便な構造計算によって、耐震性能を算出する手法。
※3 鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)などに用いられている構造計算手法。

地震に対する安全性を求めるなら「耐震等級」を重視

 

耐震性能を数値で比較すると、耐震基準を満たした住宅を1とした場合、耐震等級は下記のような耐震基準強度を有すると言えます。

 

・耐震等級1:耐震基準強度×1倍
・耐震等級2:耐震基準強度×1.25倍
・耐震等級3:耐震基準強度×1.5倍

 

耐震基準は必要最低限の耐震性能と言えます。住宅の地震に対する安全性を求めるのであれば、「耐震等級2」もしくは「耐震等級3」を取得している住宅であることを重視すると良いでしょう。

 

住宅の購入にあたって、耐震性能のベースとなる耐震基準が本当に満たされているのかどうかが気になる場合は、耐震基準を満たしている住宅に対して付与される「耐震基準適合証明書」の有無を確認しましょう。住宅売買にあたって、関係者(売主、仲介者、買主)が申請することによって取得できます。

 

住宅の耐震性能の指標には、耐震基準と耐震等級が存在します。この2つの指標の意味を理解し、違法建築など耐震基準に適合していない建物を取得しないように気を付けましょう。もし、高い耐震性能を求めるのであれば「耐震等級2」か「耐震等級3」の住宅であることを重視すると安心です。

 

 

執筆者:榑林 宏之
一級建築士・防災アドバイザー
一級建築士として活動。「都市環境・住宅環境と防災」「都市環境・ランドスケープ計画における、人の行動・動線設計と危機管理」などに携わっています。

 

BAUMPLANNING一級建築士事務所
URL:https://www.baumplanning.com/nairankai/

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