宅建業法の改正でどう変わる? 最新不動産動向!

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2018年の4月より完全施行された「改正宅地建物取引業法」。消費者保護から既存住宅流通の活性化へと重点が変わる今回の改正とはどのようなものなのか?

改正によって、住宅を売買する消費者にどのような影響がでるのか?今回の法改正に詳しい、さくら事務所ホームインスペクション関西の大森さんに、改正宅地建物取引業法の内容と、消費者への影響について詳しく伺いました。

宅地建物取引業法とは

大森さん

さくら事務所ホームインスペクション関西 大森 敞彦(おおもり あきひこ)さん

 

宅地建物取引業法について教えてください。

 

不動産はその内容や価値判断の基準が様々で、権利関係も複雑です。高額な取引ゆえに、知識のない消費者が不利益になりがち。それを是正する目的で、1952年に宅地建物取引業法が定められました。主に買主の利益と流通の円滑化を目的とし、宅地や建物の公正な取引が行われるように、宅地建物取引業者に対して必要な規制を行うものです

今回の改正が行われる背景

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制定から65年(2017年現在)、宅地建物取引業法は、時代の変化に合わせて改正を繰り返してきました。しかし、今回の改正は大きな意味があると大森さんは言います。

 

業界は、これまで新築を作り続けてきましたが、社会問題になっている少子高齢化、空き家問題は、ますます深刻になることでしょう。スクラップ&ビルドの時代は終焉を迎えようとしています。国の施策として、安心して取引ができるように法整備をすることで、既存住宅、つまり中古住宅の流通を促進させようというねらいがあります

 

日本では住宅を購入する際に、できれば新築を選びたいというのが本音ではないでしょうか。既存住宅に対する漠然とした不安があるように思います。

 

日本は既存住宅の流通量が世界に比べて圧倒的に少ないのです。空き家問題はここから生まれています。欧米諸国の既存住宅流通シェアは全体の70~80%を占めているのに対し、日本は約14.7%(2013年)。なぜ、そうなるのか。それは日本の既存住宅に対して、安心・安全が保証されていないからです。見えないところがどうなっているのか、シロアリ被害があるのではないか、そんな漠然とした不安は拭えません。これを解消しなければ、健全な既存住宅流通はあり得ません

改正宅地建物取引業法によるメリットは?

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具体的な改正内容として次のように説明していただきました。

 

今回の一番大きなポイントは、欧米で多く取り入れられているインスペクション(建物状況調査)を浸透させようという点です。インスペクションとは、建物の基礎、外壁等に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化や不具合を第三者である専門家が、目視、計測等により調査し、売主・買主双方が納得して売買取引を行えるようにするものです

 

現状では、売買の際に調査はしないのでしょうか?

 

現在、日本の不動産売買においては、現状有姿が当たり前です。現状有姿とは、ありのままの姿で取引しますというもので、売主の瑕疵担保責任を回避する意味合いが強いです。私はここに疑問を持っています。買う人は住宅のプロではありません。見ただけではわからないことはたくさんあるでしょう。安心・安全が保証されないまま、買主は漠然とした不安を抱えています。売主にしても、あとで何かクレームが出たらどうしようという懸念があります。双方の不安が、日本で既存住宅の流通が低い理由のひとつだと考えています

 

中立的な第三者によるインスペクションで、徹底した調査を行うことにより、売主・買主双方に安心感が生まれれば、流通の促進につながります。たとえ傷や不具合があっても、詳細がオープンになることで、双方が納得して公正な取引をすることができます。

 

今回の改正のポイントは媒介契約締結時にインスペクションの活用を促せるようになったことです。まず、消費者が売却もしくは購入申し込みをした際に結ぶ媒介契約。その時に仲介業者がインスペクション業者のあっせんの可否を示さなくてはなりません。まだ知らない人がほとんどですので、インスペクション利用の促進効果を狙っています。次に、インスペクションを実施することになれば、その結果を重要事項説明時に宅建業者が買主に対して説明します。買主は建物の質をふまえた購入判断や交渉ができるようになります。最後に売買契約締結時に、売主・買主それぞれが現況を確認して、その内容を書面で交付することで物件引渡し後のトラブルを防ぐことができます

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ただし、インスペクション実施の義務ではなく、インスペクションを実施した場合にはその結果の説明義務があるということです。そのインスペクションをするかしないかの判断は消費者に任されているようです。

 

「今回の改正では、インスペクション業者を選定する場合、売主側がより利用しやすい制度になっていますが、売主側でも買主側でも業者を立てることはできます。取引の公正を図るには、今後は買主主導のインスペクションを行うことがカギとも言えますね

 

インスペクションにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。大森さんの取引事例では戸建住宅125㎡未満で調査6万円、報告書1万円、マンション100㎡未満で4.5万円、報告書1万円。戸建てで小屋裏と床下に体ごと入って調査する場合、フルパッケージで12万円(税込)だそうです。

 

3,000万円クラスの買い物には当然だと言う人と、そうではない人に分かれますが、これが当たり前になるような社会を作っていきたいですね。やらずに後悔してきた人たちをたくさん見てきましたから」と大森さん。

インスペクションは売主・買主双方にメリットがある

大森さん

 

大森さんたちはインスペクションの際に、100項目ものチェックをするそうです。その上でどちらが修繕するのか、価格交渉なのか、双方が落としどころを協議します。不動産の価値を公平に判断できるしくみです。

 

私たちは売主・買主双方からアンケートを取っていますが、例えば売主からのアンケートでは、こんなものがありました。

 

『買主に対して一部不具合がありますと明確にすることで安心して取引ができた』

『買主から住宅診断の結果を契約書に付けてほしいと依頼されたおかげで、契約時にしっかり交渉できた』

 

このようにインスペクションによって、交渉が活発化することもあります。その点を理解してもらい、世の中に浸透させていくことが私たちの役目だと思っています

 

第三者による客観的な視点を入れることで、今まで見えなかったものが見えてくるのが今回のポイントです。住まいの多様化により、既存住宅を購入することは、私たちにとっても選択肢が増えるというメリットがあります。インスペクション、積極的に取り入れたいですね。

 

 

 

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表 大森敞彦

 

<プロフィール>
業界NO.1(40,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。

建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルを1つでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、400件超の調査実績を誇る。

 

専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

 

<URL>
http://00002.sakura-his.com/

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